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パンデミックから命をまもるために


太刀川:1995年の地下鉄サリン事件以降、テロ対策を名目に街中のゴミ箱が閉鎖・撤去されるようになってから、最近では街でゴミ箱を目にする機会がめっきり減りました。しかし今後テイクアウトの需要が増えるとなると、街に設置されるゴミ箱の必要性が改めて議論されるかもしれません。ただ、この場合「お店のゴミ問題を解決するためのゴミ箱設置費用をなぜ街が負担しなければならないのか」という問題が出てきますよね。

泉山:この点、アメリカには受益者負担金制度のBID(Business Improvement District:ビジネス改善地区)という仕組みがあります。地権者同士が地区の改善に必要な費用を税金を通じで負担しあう仕組みです。お店同士がゴミ箱を設置し合うことで、より良い街づくりをしようという発想ですね。自分の街が汚れてしまうと、街全体の価値が下がってしまい、結局それぞれのお店に跳ね返ってくる。気づいたときには遅かったとならないように、皆で前もって少しずつ負担し合い、街全体を綺麗に保とうとしているんです。

ゴミ問題を解決するためには、このような街全体を巻き込んだ長期的視点を持つことが必要なのかもしれないですね。

商店街が再評価? ウィズコロナの時代のコミュニティ観を予測


太刀川:コロナによって街との関わり方が変わると、きっとコミュニティに対する考え方も変わりますよね。これまでコミュニティは街単位・学区単位で存続しているイメージがありましたが、ウィズコロナの時代には代わりに、「半径500mくらいのコミュニティ」が大切になっていくのかなと思っています。地元で頼りあえる身近な存在との繋がりが重要視されるということです。

泉山:地域組織の弱体化とともに、町内会などの組織は影が薄くなっている印象がありますが、再び町内会に注目が集まり、その価値が再認識されるかもしれませんね。あるいはマンションなどで生活していると、どうしても地域でのコミュニケーションは希薄になりがちですから、そういうことに課題意識を持つ人が増えるのではないでしょうか。

太刀川:最近だとマンション内のエレベーターで顔を合わせても「お互い知りあいではありません」ということも少なくない。本来であれば、身近な人なら頼りあえる関係にもなり得るのに、これはもったいないかなと思います。現代でも、かつての長屋のような感覚でコミュニケーションがとれる場所があったら面白いかなと思います。


ウィズコロナの時代に住みやすい都市は? 近隣環境を整えるメルボルンの政策には学ぶところも(Getty Images)

泉山:オーストラリアのメルボルンには、「20分圏ネイバーフッド」と呼ばれるものがあります。2018年に発表された政策ですが、これは徒歩20分圏内の住民ニーズを満たす公共サービスを整えようというものです。近隣環境を整備することで、住みやすい都市を実現しようとする政策がすすめられているのですね。

文=加藤朋子

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