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IMAXのリッチ・ゲルフォンドCEO(Photo by Ryan Miller/Getty Images)

カナダと米国に本拠を置く映像テクノロジー企業の「IMAX」は戦争映画の大作のヒットと、中国での劇場再開を受けて、事業を再び成長軌道に乗せている。

中国では先週末から、IMAXデジタルカメラで撮影されたアジア初の商業映画「The Eight Hundred(八佰)」が公開され、1億1600万ドル(約122億円)の興行収入を記録した。そのうち750万ドルは、IMAXシアターでの興収だった。

「人々は安全が確認され次第、普通の暮らしに戻りたいと思っている」と、IMAXのリッチ・ゲルフォンドCEOは8月26日、フォーブス・チャイナが主催する米中ビジネスフォーラムの場で語った。

IMAXの劇場ネットワークの半分以上を占める中国市場では、今年後半の力強い回復が期待できるとゲルフォンドは述べている。「中国は世界のほとんどの国よりも、はるかに強い回復力を発揮していくだろう」と、彼はオンライン開催されたフォーラムで語った。

IMAXの株価は8月28日のニューヨーク市場で1.55%上昇し、6カ月ぶりの高値である15.70ドルをつけた。同社の株価は3月17日の最安値7.16ドルから、約2倍に上昇した。

IMAXは過去20年間で中国の娯楽支出のブームに乗り、現地で750の劇場に7万のスクリーンを持つネットワークを構築した。これは、同社の米国事業の規模(400劇場に4万スクリーン)を大きく上回っている。

同社は1990年代に中国に乗り込み、科学関連のドキュメンタリー映画を政府系のパートナーと製作することで初期の成功を収めた。IMAXの中国での最初の顧客は上海の政府機関で、最初の作品は「中国:パンダの冒険」という映画だった。

IMAXの成功のもう一つの原動力は、地元企業として事業に取り組む姿勢だったという。同社の中国事業は、米国の親会社が70%を所有しているが、「私たちは、外国の企業が入ってきて、中国人にビジネスのやり方を教えるようなことはしたくなかった。最初から本当に中国企業になろうとしていた」と、ゲルフォンドは過去を振り返る。

「当社の中国事業のマネジメント陣と従業員のほとんどは中国人だ」と彼は続けた。

映像テクノロジーを中国市場に提供


新型コロナウイルスのパンデミックの発生は、中国の春節の直前だったため、同社に大打撃を与えた。今年の春節の映画は、前年度の実績の40%以上の売上をもたらすと予想されていたが、全ての映画は延期された。しかし、IMAXは強力なバランスシートによって、なんとかそれを乗り切ったという。

IMAXの中国事業は、劇場の再開が許可された7月24日以降、回復に向かっている。637館で公開された「The Eight Hundred」のヒットが、同社の業績を押し上げている。

IMAXは、中国最大規模の非政府系映画会社の1社である Huayi Brothers(華誼兄弟)や、政府系の電影集団と共に、この映画に関わっている。同社のデジタルカメラはクリストファー・ノーランやマイケル・ベイなどの著名映画監督にも使用されてきたが、今回はその映像テクノロジーを中国人スタッフに開放したという。

映画「The Eight Hundred」のオープニング興行収入は、中国で製作された映画としては過去最高レベルとなった。

「中国の消費者は以前のような日常に戻ろうとしている」とゲルフォンドは話す。中国で経験を積んだIMAXは今後、中国映画とハリウッド映画をブレンドした作品を用意して、さまざまな嗜好にアピールしようとしている。

編集=上田裕資

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