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米国が中国化するか、中国が米国化するか。勝つのはどちらだろう?

8月19日にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたルーシー・クレイマー(Lucy Craymer)の記事によれば、ハーバード大学やプリンストン大学の教授陣は、中国に関するテーマを教える際に、中国のWeChatで使われているような婉曲表現に頼るようになるという。中国の新たな国家安全保障法から、自分自身と学生たちを守るためだ。

授業には、「この秋から警告ラベルがつく」と、クレイマーは述べた。アイビーリーグの中には、数千人の中国人留学生を抱え、中国の個人から多額の寄付を受け取っている大学もある。こうした大学は、学生たちが「中国当局から起訴されないように」保護しようとするだろう。

筆者は8月19日、ハーバード大学とプリンストン大学に電話とEメールで取材を申し込んだが、2日経った現時点で回答は得られていない。

中国の国家安全保障法の適用範囲は広い。そもそもこれは合法なのだろうか? 対象は中国人の学生ではあるが、学生たちが帰国した際に法的問題に直面せずにすむよう、米国人が国内で彼らを中国法から守らざるを得なくなっている構図だ。

米国の大学が進んでこの法律に従っているのは、おそらくは、現代市民論の基礎を学んだ学生たちが、帰国後に法的問題に巻き込まれるリスクを認識しているためだろう。これらの大学のほとんどは、中国や現在の中国政府に対して批判的ではないため、提供される中国語や中国史の授業において、中国共産党の逆鱗に触れるような内容が教えられているとは考えにくい。

ハーバード大学の機関調査室によれば、2019年秋学期に同大に入学した中国人留学生は1099人で、外国籍者のなかで最多だった(2位はカナダの629人)。プリンストン大学は、留学生の国別内訳をウェブサイトに掲載していない。

一方で、中国も突如として、米国の大学で「レンガの壁」にぶち当たっている。

中国政府が出資して世界各国で運営されている、孔子学院と呼ばれる教育センターの閉鎖が進んでいるのだ。2019年度国防権限法により、米国の大学は、孔子学院を維持するか、あるいは、閉鎖して米国政府から提供される言語教育プログラムへの補助金を得るかの二者択一を迫られた。これまでの過去6年間で、少なくとも29大学に設置されてきた孔子学院が閉鎖されてきたが、このうち22校は、2018年8月にこの法律が成立した後で閉鎖された。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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