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共に、生きる──社会的養護の窓から見る


マイツリーでは虐待をこう定義する。

「子ども虐待とはこれまで人として尊重されなかった痛みや悲しみを怒りの形で子どもに爆発させている行動です」(『虐待・親にもケアを』森田ゆり編著、築地書館)

「怒りの仮面」の裏側の気持ちに気づく


虐待的な行動に悩む親たちは、それまでの人生で、人として尊重されなかった経験により様々な傷つきや苦しみを抱えている。そしてそれがケアされることがないまま大人になる。親からの虐待、冷たい仕打ちや言葉、いじめ、差別、ジェンダー、性暴力……社会からの様々な抑圧によって、自分はダメな人間だ、自分にはなんの価値もないのだと、自分を大切だと思えなくなっていく。

しかし、そのトラウマがふとしたきっかけでよみがえると、怒りの姿をまとって子どもに向かう。

マイツリーではそれを「怒りの仮面」と呼び、怒りの裏側にある自分の気持ちに目を向けていくことで、自分でも知らなかった自分に気づき、変化を促していく。

怒りの仮面図
「怒りの仮面」の図。「怒り」は、その裏側にある感情を教えてくれる大切な存在。(『虐待・親にもケアを』森田ゆり編著、築地書館)

プログラムの目的は、親の悪いところを見つけて直させることでも、正しい親になることでもない。自分自身のなかにある本来の力に目を向け、自然の力も最大限に借りながら、自分を小さく抑圧していたエネルギーを外側へ向けることによって、力を膨らませていく。そうして、その人の人間としての全体性を「回復」していくプログラムだ。

文=矢嶋桃子

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