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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Dan Kitwood/Getty Images

米国のショッピングモール運営最大手サイモン・プロパティ・グループは現在、JCペニーやシアーズなど百貨店チェーンの経営破綻により空いた施設をアマゾン・ドット・コムのフルフィルメントセンター(物流拠点)として再利用する案について同社と交渉を行っている。

JCペニーは5月に破産申請を行い、6月に154店舗の閉鎖を発表。シアーズもまた、96店舗の閉鎖を決めた。さらにKマートなどの老舗チェーンも、店舗の多くを閉鎖する。

大手百貨店の撤退は、ショッピングモール運営会社にとって大きな問題だ。百貨店の集客効果はモール内にある他の小規模店舗に恩恵をもたらす。さらに、大手百貨店は通常、モールの中に占める店舗面積が大きい。

一方、百貨店には専用の搬入口があるため、空き店舗は倉庫に適したスペースとなる可能性がある。アマゾンは米郵政公社(USPS)、FedEx(フェデックス)、UPSなどの外部配送業者への依存度を減らして自前の配達業務にシフトしており、フルフィルメントセンターの増設は事業範囲の拡大とコスト削減につながり得る。

昨年半ばの時点で、アマゾンが米国で1日以内に配送可能な家庭の割合は、72%と推定されていた。「アマゾン・デリバリー・サービス・パートナー」や「アマゾン・フレックス」などの配達業務委託プログラムに加え、ドローンや自動運転車などの最新技術の導入、中継フルフィルメントセンターのネットワークの活用により、利用客が自分で実店舗へ徒歩や車で買い物に出掛けるのにかかるのとほぼ同じ時間で商品を配達できるエリアはさらに広まるだろう。

アマゾンは現在、米Eコマース市場で約49%、米国全体の商品購入額の5%ものシェアを占める。今年に入ってからのアマゾンの業績は過去最高水準に達している。

新型コロナウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)により、オンラインショッピングは以前にはあまり利用しなかった人たちにも広まった。それに伴い、必要に駆られて購入する商品と、買い物自体を楽しんだり、買う前に実際に見て触れたりしたい商品との住み分けが加速。同時に、アマゾンが第一の購入方法となる商品のジャンルも広がっている。

アマゾンが倒産した百貨店の跡地を倉庫や配送センターとして利用することは、私たちの買い物方法に起きつつある明らかな変化を示している。多くのモール運営会社にとって、アマゾンは唯一のつてなのだ。

アマゾンが今後、百貨店の跡地に実店舗を出店する可能性もある。将来、モールのアマゾンの店舗に出かけて買い物をしたり、ネットで注文した品を受け取ったりする時代が来るかもしれない。

このトレンドは、米国以外にも広がるとみて間違いないだろう。物流は今、大きく変わろうとしている。1990年代半ばにウォールストリートを離れてウェブ上にオンラインショップを立ち上げたジェフ・ベゾスは今や、長年にわたり小売りと消費の象徴であったモールをも占領しようとしている。インターネットの進化と並行して実行されたこのマスタープランは時代を物語るものであり、誰にも止められそうにない。

編集=遠藤宗生

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