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北京にオープンしたアップルのフラッグシップストア(Photo by Kevin Frayer/Getty Images)

アップルが、iPhoneおよびMacBookの製造拠点のかなりの部分を、中国以外の国へ移し始めている──これは事実なのだろうか? その答えは、ある意味ではイエスだ。

ただし、アップルが今でもフォックスコン(鴻海精密工業)に製造を委託しているのであれば、という条件は付く。というのも、フォックスコンは中国本土から撤退する動きを進めているからだ。

こうした動きについては「ローカライゼーション」あるいは「リージョナリゼーション」と呼べるかもしれないが、呼び名がどうであれ、現状はもはや、中国を核としたグローバリゼーションと呼べる状態でないのは間違いない。そうした時代は、ゆっくりと終焉に向かっている。

カリフォルニア州から始まった地産地消の動きにより、一定数の米国人が、自分たちが口にする食べ物の出所に関心を持ち、地元でとれた食材を食べ、地元で生産された食肉を買うようになったのと同様に、他の製品についても、「地元で作られた物品を買おう」という呼びかけが定着するのは、もはや時間の問題だ。スニーカーやその他の靴、従来型の携帯電話やスマートフォンなど、幅広い物品がその対象となるだろう。

これは何も、アップルは中国でスマートフォンを製造するべきではない、という話ではない。製造をやめる理由はないはずだ。アップルは、中国で大きな市場を抱えているうえ、東南アジアや中央アジア、そしてロシアの一部地域にこれらの製品を出荷する場合に、この地域で最も優秀な流通網を備えているのは中国だ。

だが、インド市場向けのスマートフォンならば、インド国内で製造し、インド国民を雇用しても良いはずではないだろうか? また、北米市場向けの端末なら、北米で作っても良いはずだ。

フォックスコンはすでに、こうした方針に基づいた、文字通りの「引っ越し」を始めつつある。

フォックスコンの劉揚偉(Young Liu)会長は現地時間8月12日、「インド、東南アジア、あるいは南北アメリカといった地域を問わず、それぞれに製造エコシステムが設けられるだろう」と語った。同社決算発表後の電話会見でのことだ。

iPhoneに関して、輸出よりも地元での製造を選ぶ動きが根付くかどうかは、まだ予断を許さない。時間をかけて見守る必要があるだろう。

だが、中国から製造拠点を移す動きは、足かけ3年にわたる米中貿易戦争を踏まえたサプライチェーンのファンダメンタルズの移行というよりは、コスト面の要因が大きいとも考えられる。中国はテクノロジーに関するバリューチェーンでの地位を向上させてきた。確かに中国は、MacBookのマザーボードをネジ止めする作業を担う人手には事欠かないが、規制の強化と賃金の上昇を理由に、中国から製造拠点を移す企業も出始めている。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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