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glafit代表の鳴海禎造氏(左)、ノーリツプレシジョン代表取締役社長の星野達也氏(右)

日夜、新たなアイデアやプロダクトが登場するクラウドファンディング。思わず支援したくなる革新的なアイデアの裏側には、気鋭のスタートアップや若手クリエイターの存在が想起されがちだ。しかしなかには、実力とノウハウを兼ね備えた「老舗企業」とのコラボレーションによって、新たなプロダクトを生み出すスタートアップも存在する。

電動バイクなどの新しいモビリティを提供するglafitは、そんな企業の1つだ。同社は新製品の開発にあたり、和歌山県の老舗中堅メーカー「ノーリツプレシジョン(前:ノーリツ鋼機)」と提携。確固たる技術を持ったメーカーとの連携で生まれた新製品は、「Makuake」での公開直後より注目を集め、最初のプロダクト「GFR-01」に続き、史上初の2プロダクト連続で1億円越えを記録した。



一見、コミュニケーションコストの増加やスピード感の不足など、リスクが多いように見える老舗メーカーとの連携を、なぜ「大成功」させることができたのか。提携を結んだglafit代表の鳴海禎造、ノーリツプレシジョン代表取締役社長の星野達也の両者に話を聞いた。

「和歌山県の老舗の経営改革をやらないか」


星野は、元コンサルタントの経歴を持つ、いわゆる「プロ経営者」だ。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントを務め、前職の技術系コンサルティング会社では、100社以上のオープンイノベーション支援を担当。著書に『オープンイノベーションの教科書』(ダイヤモンド社)がある。

コンサルタントとしてのキャリアを着実に重ねていた星野。そんな彼に、「和歌山県の老舗メーカーの経営改革をやらないか」という声がかかったのは、2016年3月のことだった。

「ノーリツを知ったのは、ファンドからの電話がきっかけでした。『和歌山県にある老舗メーカーの変革を担ってほしい』と。話がきたときは、メーカーの技術に精通しているわけではなく、縁もゆかりもない土地だったこともあり、すぐに『やります!』とは言えませんでした」

ノーリツプレシジョンの前身・ノーリツ鋼機は、和歌山県和歌山市に本社を置く写真現像機メーカー。70年代後半、写真のフィルム現像を1週間から1時間に短縮した「モノクロフィルム自動現像機:ミニラボ」を開発し、世界中の写真店で導入された。

約70年前に、創業者が地元の写真館から始めた会社は、一代で売り上げ900億超の大企業にまで成長。東証一部に上場し、写真業界を牽引する存在となった。

しかし、デジタルカメラが出現すると、事業は急速に縮小。フィルムカメラを用いるプロカメラマンの支持によって生き延びたが、売り上げはここ15年で10分の1までに落ち込んだ。新たな投資も困難で、市場の縮小が続く中、会社が置かれる状況は厳しくなる一方だった。

そんな状況下において、創業家は事業をファンドに譲渡。そんな会社の雇われ社長として白羽の矢がたったのが、星野だった。

文=半蔵門太郎 写真=小田駿一

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