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イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」


そこから意識的に女性料理人の採用を増やしていき、いまは系列店でシェフをつとめる女性料理人も多く登用するようになった。もちろん「女性的な感性」というのは性別のことだけではない。異能異才──つまり自分とは全く感性や専門性を持つ人材とヴィジョンを共有してチームをつくりあげることだ。昨今、世界を代表するようなアーティストも、単独で作家として活動するのはなく「コレクティブ(集合体)」としての活動が増えている。

マッシモ・ボットゥーラ
「ファミリー・スピリット」を体現する組織を育ててきたマッシモ・ボットゥーラ(Getty Images)

新型コロナでたくさんの人が今までの価値観を見直す中、従業員を酷使するブラック外食店がいくら食糧廃棄問題や地産地消に取り組んでもサステナブルとは言いがたい。残念な例は世界にもある。

ここ数日ガストロノミーの世界の話題は、感度の高い顧客に支持されNYやサンフランシスコに展開するフュージョン中華で有名な米国の「ミッション・チャイニーズ・フード」の女性シェフによる告発で持ちきりだ。

この店は中華料理では珍しく、地元の食材やオーガニック食材にこだわり、ベジタリアン向けのメニューも充実している。オーナーのアンソニー・ミントはサステナブルなシェフの世界的なアワードも受賞しており、その先進的な取り組みはCO2排出量などレストラン業界の新たなエコロジカルスタンダードをつくる研究活動にも通じている。同店で同じくシェフをつとめるダニー・ボーウィンが長年右腕をつとめた前女性エグゼクティブシェフに、6年間もの長期によるその支配的・暴力的なハラスメントを告発されたことで米国トップレストラン業界に激震が走ったのだ。

ますますサステナビリティの実践が全方位で求められるニューノーマル時代に突入した世界のレストラン業界。関わる人すべての幸福の追求という面でもオステリア・フランチェスカーナは3つ星に相応しく世界のトップランナーであり続けるだろう。

孤高のカリスマの時代は終わった。オステリア・フランチェスカーナはまさにコレクティブキッチンと言える多様性に満ち、女性料理人はもちろん、紺藤のような異文化の感性を最大限に取り入れている。従業員と家族を分け隔てなく「ファミリー」と称し、どんな苦境でも愛情を注ぐ。人材こそすべての価値の源泉とする、これが世界最高のレストランのニューノーマルの支柱となるのだろう。

 
連載:イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」
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文=齋藤由佳子

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