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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Justin Sullivan/Getty Images

ウーバー・テクノロジーズが買収に失敗した米料理宅配企業グラブハブは、最終的に同業の欧州企業ジャスト・イートにより73億ドル(約7800億円)で買収された。ウーバーはその後、同業の米ポストメイツをこれよりもはるかに低い26億5000万ドル(約2800億円)相当の株式で買収すると発表した。

要は、こういうことだ。自社がマーケットシェア3位(22%)の料理宅配企業で、1位と2位の企業(45%のドアダッシュと23%のグラブハブ)を買収できないなら、4位の企業(8%のポストメイツ)を買収すればよい。支払いは現金ではなく紙きれでできればなおよい──。

前職のエクスペディアで41件、総額127億ドル(約1兆3600億円)の企業買収を行ったウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスが流行する中、自社の生命線となる市場で企業買収を通して成長する機会を逃せるはずがなかった。米国では、トランプ大統領が退任し、理に適った解決策を考案できる後任者が就任しない限り、新型ウイルスの流行が続きそうだ。

ウーバーはなぜ、不安定な料理宅配市場でのシェア拡大を推し進めているのだろう? それは、同社がこの事業を非常に重要な問題の解決策と考えているからだ。その問題とは、同社の中核事業である乗客輸送が新型ウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)で大幅に減少したことだ。

この間、同社はウーバーイーツにより生き延びた。米国では多くの州で本格的なロックダウンは施行されず、今でも多数がマスク着用を拒んでおり、人々はこれからもしばらく新型ウイルスの影で生きることになるだろう。それを考えれば、景気の波に逆らう(ロックダウンがプラスとなる)事業を推進するのも合理的なものだ。

それでは何が問題なのだろう? それは、料理宅配ビジネスの採算性のなさだ。グラブハブのデータを見てみると、ロックダウン中の売上高は上がったものの、それにより損失も増加した。一部のアナリストによると、ウーバーは注文1件につき3.36ドル(約360円)の損失を出しており、こうした状況は少なくとも今後5年間続くとも予想される。

注文を受けるたびに損をする事業で、積極的に買収を行い事業の拡大を図るのはなぜか? その理由はとてもシンプルだ。今後起きる何らかの環境の変化により、このトレンドがどこかの時点で逆転し、事業が利益を生むようになると予想されるからだ。

編集=遠藤宗生

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