Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

パテック フィリップ「カラトラバ6007A」 ダイヤルの色はブルーグレー。植字式のインデックスや、カーボン調の模様でモダンな雰囲気を演出。

例年なら春に開催される時計の見本市「バーゼルワールド」にて新作をお披露目する「パテック フィリップ」だが、今年は新型コロナウイルスの影響で見本市自体が中止となり、新作時計の発表も危ぶまれていた。

世界中の時計愛好家がその動向を見守っていたが、ついに6月に2020年の新作第一弾モデルとして「カラトラバ6007A」が発表された。このモデルはドレスウォッチの傑作として名高いカラトラバシリーズの自動巻きタイプなのだが、なんとケース素材にステンレススティールを使用している。

パテック フィリップのステンレススティールモデルといえば、スポーティな「ノーチラス」や「アクアノート」が有名だが、端正な「カラトラバ」にステンレススティール素材を取り入れるのは極めて異例である。


カラトラバ6007A | 世界限定1000本。自動巻き、SSケース、ケース径40mm。309万円


ケースバックはシースルー式。ブランドの紋章であるカラトラバ十字などが書かれている。


なぜこのようなモデルが誕生したのか? それはパテック フィリップの新しい工場と関係する。

パテック フィリップは近年、コンプリケーションウォッチの製作に力を入れてきた。しかし時計が複雑化するということは、使用するパーツ点数が増え、仕上げなどの手間も増える。製造工程が複雑化した結果、既存の工場では手狭になってしまったため、2003年から2009年にかけて、ケースなどの外装関係の製造部門を近隣に移動させ、ムーブメント関係の部門を一か所に集約するという大きな配置転換を行ったのだった。

しかし高度な時計を効率的に製造するためには、やはり同じ場所で、研究開発やデザイン、パーツ製造、組み立て、ケーシング、品質チェックまでを一気に行うのが理想だ。そこで2015年から新工場「PP6」の建設が始まった。

PP6は長さ189m、幅67m、地上高34mという巨大な工場で、地下4フロア、地上6フロアで構成される。地下は機械技術設備で、1階と2階がムーブメントパーツの製造と仕上げ。3階が外装やジェムセッティング、カスタマーサービスや修理を必要とするスペアパーツの製造、4階が研究開発部門と高級時計部門、5階が彫金や七宝などのハンドクラフト部門で、さらに時計師のためのトレーニングルームも用意される。


新工場はエコにも配慮。ジュネーブ州の省エネルギー法によって定められた「高エネルギー効率〈HPE〉規格」に準拠している。最上階となる6階には、大きなレストランとVIPラウンジも作られた。


1階エントランス部分は、シックな雰囲気だ

文=篠田哲生

VOL.127

本家トゥールビヨンモデルがさらなる進化を遂げた

VOL.129

愉しい時間は、時計を外した時に思い出す

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい