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プロジェクトの発端は、身近な課題の解決策を考え、行動を起こすというグループ学習で最年長の河原佳音が災害を取り上げたことだった。河原は、家族の運転する車の中から堤防のない川辺を発見し、「台風などで氾濫したらどうなるのだろう」と懸念を抱いた。それからほどなくして、大阪北部地震が発生。登校途中の小学生が、倒れたブロック塀の下敷きになって死亡するという事故が起こった。

「そのニュースを聞いた時に、通学中に地震などの災害が起きた場合の対応について、考えたことがなかったことに気づいたんです」(河原)

河原は、解決するテーマを自分が当事者でもある「通勤通学中の防災」に絞り、在校生向けにワークショップを実施。通学路の写真を見ながら、災害時どんな危険があるかを考えさせた。その想いに共感し参加したのが、現在中学3年のメンバーだ(取材当時)。

その後は、防災関連の資格をもつ教員・河合豊明のサポートを受け、資料を集めたり、NPO主催の防災訓練やワークショップを視察したりすることで、防災についての知識を深めていった。

2019年度にはアワードに応募することを決め、新入生向けのワークショップを実施。その参加者であった「アプリ制作や、起業に興味がある」という中学1年生の秋吉雪穂がメンバーに加わった。


屋外でのワークショップの様子。災害発生時の対処法と、大きな危険が伴う場所を写真を見ながら探したり、災害発生時の対処法を学ぶ

その後は、Slackのチャットで、対面で、激論を交わしながら「AR(拡張現実)アプリ」に企業の広告を掲載するなどの案が生まれ、ビジネスプランとしてまとめられた。ワークショップで可視化された通勤・通学路の危険箇所は、デジタルアーカイブとして無料で公開。地域全体の取り組みとして発展させることを目標とした。


屋内でのワークショップの様子。参加者が撮影してきた危険箇所の写真をデジタルマップにアップロードしている

アワードへの参加を通じて生徒たちは視野を広げ、より大きな社会課題に取り組もうとしている。この賞の受賞者が、世界を“バージョン・アップ”させる未来はそう遠くないのかもしれない。


SBP◎社会問題を解決するソーシャル・ビジネスの支援を行っているが、特に中高生に向けて、課題発見、アイデア創出、事業創造力、マネジメント力を培うための場を提供している。各界のビジネスリーダーがサポーターとして名を連ねている。

文=崎谷美穂 写真=吉澤健太

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