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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

シリコンバレーのスターシップ・テクノロジー社のロボット / Getty Images

アメリカの多くの州が、部分的に自宅待機令を解除し、車や人の流れが以前の半分程度に戻ったとはいえ、人々は、まだ他人と接触することをかなり恐れている。

アメリカ人がめったに握手をすることがないという風景にだんだん違和感がなくなってきているのは凄いことだと思う。人は人を避け、向こうから人が歩いて来ると思えば、あらかじめ反対側の歩道に移ったりする。

店で買い物をしても、現金を渡すことはなんとなく憚られる雰囲気を感じるし、クレジットカードを出す場合も、以前は手渡しでしていたのが、いまは端末がアクリル板の切れ目から突き出ていて、そこに自分で差して決済をするという形が一般的となった。

そんななか、近年開発されてきたロボット配送システム「デリバリーロボット」にいっそう注目が集まり、開発に拍車がかかるとみられている。

自走ロボット開発のいま


デリバリーロボットはもうこの5年ほど配送テクノロジー業界では話題の中心にあったが、技術的な障害も多く、実用には時間がかかっていた。

もともとは、アマゾンやフェデックスの流通競争のなかで、最後の1マイルを配送する人件費を下げるためにロボット配送をという主旨だった。アマゾンは、コロナ禍のずっと前からアマゾンスカウトを開発し、シアトルやカリフォルニアのアーバインで試験走行をさせている。しかし、ロボットのメンテナンスやリモート監視にやはり人の手がかかるなど、なかなかコストが下がらずに停滞していた。

それが、コロナ禍により「密」をつくりたくないという新しいニーズが生まれて、デリバリーロボットの開発はスーパーマーケットでの食料品の買い物の配送代行やレストランからの出前注文へとシフトしている。

シリコンバレーのスターシップ・テクノロジー社のロボットは6キロ範囲の配送が可能で、歩道を自走していく。10キロまでの荷物も運べるので、買い物2回分というところか。イギリスのミルトンキーン市での実験的運用が続いており、アメリカでもヴァージニア州のジョージ・メイスン大学では、学生が毎日利用しており、25台がフル稼働している。

具体的には、直径30センチほどの車輪が6つついた、ちょうど椅子1つ分のサイズ感の車が自走し、その蓋を開けたところに食材を入れられるというものだ。

ドアダッシュ社のものは、似たようなサイズだが、4輪で、ディープラーニングによって信号や歩行者の動きを解析し、衝突を回避した自走技術の開発が進んでいる。

また、キウイトリック社の場合は、人が運転するバイクに、自走ロボットを数台格納することで、1回の出動で複数世帯の合計20回分の買い物を運ぶという仕組みで、人間とロボットのハイブリッドモデルだ。

このように、たくさんの種類の自走ロボットが開発されており、モノによっては60キロもの走行距離を持つものもある。コスト削減がそれほど進んでいないのは事実だが、「脱密」がアフターコロナビジネスの1つの柱とみられ、その観点から開発ニーズが飛躍的に伸びている。

これまで、コストが下がらないのであれば、障害物のない空を安全に飛ぶドローン配送のほうがビジネスモデルとして有利と思われていた。しかし、単価が安くて、量も重さもそれなりで、ドローン配送とはなじみにくいスーパーの買い物の優先順位が上がり、それなら自走ロボットのほうがと皮肉な展開となった。

文=長野慶太

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