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ほぼ同時期に、同種の段ボールサポーター企画「アルボールくん」をアルビレックス新潟が1500円で発表したが、サガン鳥栖としては独自のプレミアム化を図っていくという。

購入者のうち先着7000人に、野球をイメージさせるデザインの特製ユニフォームを漏れなく発送。応援ボードを手にする写真など思い思いのパネルを注文できる点も、仕上がったときの再現性の高さ、つまり美しさも含めて、顔の部分だけをカスタマイズするアルビレックス新潟の企画と一線を画していく。

鳥栖市や佐賀県や九州だけでなく


当初の販売目標は1万席分。無観客試合だけでなく、制限入場が許されてからも設置を続ける予定で、設置期間終了後には所属選手とパネルのツーショット写真も1人2000円で購入できる。売り上げの一部は長期に及んだ中断や、再開後の無観客試合の開催で減収を余儀なくされたチームの運営資金に充てられるが、竹原社長はこんな言葉をつけ加えることも忘れなかった。

「ただサガン鳥栖だけが、佐賀県で、九州のなかで元気になればいいという思いはありません」

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写真:クラブ提供

5月下旬にJリーグから開示された各クラブの2019年度決算で、サガン鳥栖は20億円を超える単年度赤字を計上した。情報が開示されている2005年度以降では群を抜く、リーグ史上最悪の数字となったが、増資を行った結果、退会などのペナルティーを科される債務超過からは免れている。

2011年5月から現職を務め、責任企業を持たない地方クラブを成長させてきた竹原社長をして「存続危機という言葉が似合うのか、明日はあるのかという感じですが……」と言わしめた苦境は、クラブの収入が2018年度から約17億円も激減したのに対して、支出が逆に微増したことに起因する。

決算を見れば、入場料収入と並ぶ収入の2本柱であるスポンサー収入が、約15億円も目減りしている。年間5億円とされたスマホゲームの大手Cygamesをはじめとする、大型スポンサーの相次ぐ撤退が大きく響いた。竹原社長はこんな言葉を呟いたこともある。

「ここ数年、スポーツに興味を持つ150社ぐらいの上場企業と交渉すべく、東京や大阪を含めたさまざまな都市で営業活動をしてきました。しかし、スポーツの力を信じる経営者は多いものの、なぜ鳥栖という町で一緒にやるのかというストーリーを共有することができませんでした」

今年度は支出の大部分を占めていた選手年俸を含めたチーム人件費を、約14億6000万円減の11億6900万円にまで削減。最終的に1200万円の黒字を計上する予算を編成して再出発を期した。

「ビッグスポンサーと出会い、一度優勝を目指したフェーズのなかで、チーム人件費をどんどん上げてきました。ちょっと背伸びをしてご心配をおかけした事実を見つめ直して、今後につなげていきたい。身の丈に合った経営で確実な未来を築けるようにしたい」

原点回帰を誓う心境を、竹原社長はこんな言葉に凝縮させている。大都市に本社を置く上場企業ではなく、長年にわたって技術を磨き続けてきたサガシキとタッグを組んだ砂段ティーノにも、地元を大切にする思いが反映されている。商品発表会見で、竹原社長はこう語った。

「新しいスタイル、新しい技術、新しい取り組みを介して、サポーターの方々と鳥栖市、佐賀県、九州、そして全国を盛り上げていきたい。ものすごいスピード感をもって対応していただいたなかで、サガシキ様の技術の高さとスタッフの優秀さを目の当たりにさせていただいた。佐賀県には誇れる企業がある、という実感も全国へ向けて発信していきたい」

全国への発信に関しては、サガシキが東京都や大阪府に支店を置いていることに加え、サガン鳥栖からの紹介もあり、すでに同じような段ボールサポーター企画の問い合わせが、複数のJクラブから寄せられているという。サガシキでは「ハコデサポーター」と命名して、幅広く展開していく構想をすでに描いている。

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文=藤江直人 

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