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I write about security and surveillance.

Photo by Costfoto/Barcroft Media via Getty Images

ファーウェイにとって、この数週間は厳しいものだった。米政府による半導体輸出規制の強化や、英政府による5Gネットワーク整備からの排除検討に加え、カナダの裁判所は孟晩舟CFOの米国への身柄引き渡し要求を退けた。さらには、最近では同社がイランでの事業を隠していたことが報じられている。

事実関係が明らかでないニュースも含まれているが、ファーウェイにとっては市場にポジティブな話題を提供し、世間の目をそらすことが必要だ。その意味で、新型スマホ「Honor Play 4 Pro」の発表は絶妙のタイミングだったと言える。この端末は、新型コロナウイルス対策になる機能を備えた革新的な端末だ。

ファーウェイのスマホ事業は、出荷台数でサムスンを追い抜いて世界1位を奪取すると予想されていたが、昨年5月以降の米政府による制裁により実現しなかった。それでも、ファーウェイはアップルを抜き、大方の予想に反して長期間2位の座を維持した。スマホ事業が打撃を受け始めたのは、今年に入ってからだ。

その最大の要因は、グーグルのサービスを失ったことだ。中国国内では、もともとグーグルは禁止されていたため影響はないが、海外市場での販売は大きな打撃を受けた。ファーウェイは海外市場の拡大を強化していたため、米政府による制裁の影響は甚大だった。

これまで、スマホ事業はファーウェイに莫大な利益をもたらし、同社の成長を牽引してきた。グーグルを失った同社は、独自のアプリストア「AppGallery」やモバイルサービス「Huawei Mobile Services」への投資を拡大し、地図サービス「Here」との提携や、車載用システム「HiCar」の開発によって挽回を図ろうとしている。

「Honor Play 4 Pro」は、最初は中国限定で発売されるが、先々は海外市場でも提供されるだろう。この端末は温度を測定できる赤外線センサーを搭載している。ユーザーが自身の体温を管理することで、新型コロナウイルス対策になることが期待される。

チップ供給に問題が生じる可能性も


赤外線センサーは使い方が簡単で、-20℃から100℃まで測定可能だ。世界中でロックダウンが緩和され、人々が職場や学校などに戻る中、様々な方法で検温が実施されている。Honor Play 4 Proは、マス市場向けに開発されたほぼ初めての赤外線温度計であり、ユーザーは出勤や登校の前のルーチンとして手軽に体温を測ることができる。

Honor Play 4 Proは、ファーウェイのプロセッサ「Kirin 990」を搭載している。このプロセッサは、ファーウェイ傘下のハイシリコン(HiSilicon)が台湾のTSMCに生産委託しているが、米政府の制裁強化により今後の供給が危ぶまれている。Honorはファーウェイの低価格ブランドで、5G対応のPlay 4 Proはそのフラッグシップモデルだ。海外で販売する際にグーグルのサービスが利用できないことはマイナスだが、赤外線センサーは競合端末にはない大きな武器になるだろう。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、スマホを使って自分や子供の体温を測定できることは大きな魅力だ。ネガティブな話題が続くファーウェイにとって、Honor Play 4 Proのリリースは久々に市場から歓迎されるニュースとなるかもしれない。

情報開示:筆者が運営する企業Digital Barriersは、混雑した場所でも発熱者を検出できる熱探知カメラを提供しているが、スマートフォンに搭載された体温測定機能と競合しない。また、中国では当社の製品を販売していない。

編集=上田裕資

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