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THE TRUTH


競争フェーズから共存共栄への転換


J2の中位以下やJ3には、純資産が少なく、経営基盤が脆弱なクラブが少なくない。2月下旬から公式戦が中断され、J3に至っては開幕すら迎えていない状況が長引けば、経営そのものが傾くクラブも現れかねない。

現時点では資金繰りが厳しくなったという報告や、キャッシュフローが滞りそうだという見通しは届いていない。それでも、不安を抱えながらこの先も活動を続けることがないように、村井チェアマンは4月1日の臨時実行委員会で、あることを宣言をした。

「今シーズンはJリーグにとっても有事という認識のなかで、競争フェーズからいったんチューニングを行うと宣言しました。経営危機に陥るクラブが出てくる可能性もありますし、リーグ全体が平時とは違うオペレーションに移行せざるをえない状況で、すべてのクラブが安定的にサービスを提供できるように、また経営基盤をしっかりと守るために、モードを変えることを各クラブへ申し上げました」

産声をあげた1993シーズンからJリーグは「共存共栄」を掲げ、護送船団方式で発展を遂げてきた。それが一転して2017シーズンからは、スポーツチャンネルの『DAZN』を運営するイギリスのDAZN Groupと、10年間で総額約2100億円の大型放映権契約を結び、モードを「競争」へとスイッチしている。

経営努力や競技成績が反映されるオペレーションへ移行し、DAZNマネーを原資として、リーグ戦の上位クラブに対する賞金は大幅に増額された。また、J1の優勝クラブへ翌年以降の3年間で総額15億5000万円が支給される新設の理念強化配分金は、競争モードの象徴となる施策でもあった。

今シーズンは、こうした各種賞金や理念強化配分金などのあり方を見直し、新型コロナウイルス禍に特化した融資制度の原資とする議論が、急ピッチで進められている。こちらは実行委員会だけでなく、理事会にも諮って具現化させる予定だ。

各種議論に機動力をもたせるために、試合日程、競技の公平性、観戦環境対策、財務対応をそれぞれ協議する4つのプロジェクトチームが村井チェアマンのもとで発足、信頼を寄せるJリーグ幹部がリーダーを務めている。共存共栄方式への転換は、財務対応チームが微に入り細を穿って担当している。

「未曾有の状況で前例もないなかで、サッカー界をあげてこの難局を乗り切っていきたい」

実行委員会では、シーズンを成立させる条件として、リーグ戦で全体の75%以上、各クラブが50%以上の試合を消化することも決めている。日程的な余裕が少なくなってきているなかで、いまは、一刻でも早く、新型コロナウイルスの脅威を克服し、スタジアムに歓声が戻る日が来ることを祈りたい。

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文=藤江直人

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