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THE TRUTH


北海道コンサドーレ札幌の本拠地である札幌ドーム以外は、ドーム型のスタジアムがないサッカー界においては、感染拡大を防ぐための合言葉「三密」のうち「密閉」は対象外だ。リーグ全体では、残った「密集」と「密接」を排除するさまざまな施策を講じてきた。

例えば、再開後の2カ月間は、アウェイクラブのファン・サポーターが集うゴール裏の席を封鎖することが決まっている。これはサポーターたちが公共交通機関などで移動する際に「密集」が生じ、感染拡大が助長されると判断したためだ。

他の座席も、来場者に前後左右に間隔を設けて座ってもらうことで、「密接」を防ぐ。必然的に入場者数は少なくなり、それぞれのスタジアムで定められたキャパシティーの50%以下を目指していこうと、リーグ事務局側から各クラブへは申し入れられている。

そのうえで、すべての来場者に検温を実施し、手指のアルコール消毒も行う。ボランティアを含めた関係者全員がマスクを着用する。

しかし、村井チェアマンは、これらの再開へ向けたプロトコールさえ遥かに越えて、無観客試合ですら難しい段階に入ったと感じ取った。

「我々の願い通りに事態が終息する保証はありませんし、先のことは専門家の先生でさえ見通しがつかない。その意味では見渡せる範囲のなかで、例えば1カ月刻みでしっかりと準備を継続していくというところまでしか、いまは申し上げることができません」

村井チェアマンの発言から推測すれば、公式戦の再開時期は、現時点で早くても6月上旬となる。具体的な日にちを設定していたこれまでとは異なり、白紙状態に戻した理由のひとつには、選手のコンディションへの配慮もあった。

Jリーガの新型コロナウイルス感染は、先月30日、元日本代表のDF酒井高徳(ヴィッセル神戸)が初めてだった。その後も、ヴィッセルのトップチーム関係者2人、GK永石拓海(セレッソ大阪)、そしてDF船津徹也(J2ザスパクサツ群馬)もPCR検査で陽性反応が出ている。

「発症した選手たちから『申し訳ない』というコメントが出ていますが、相当な緊張感や不安のなかでギリギリのコンディションづくりに何度も挑戦して、なかにはかなり体脂肪を絞った選手もいると思います。その意味では、選手の免役力を下げてしまったところは選手個人の問題だけではなくて、リーグ全般がケアすべき問題だと思いながら、感染を拡大させない努力を重ねていきます」

運営側が2週間刻みで再開を模索してきたことで、選手たちに心身を高めては一度落とすという作業を繰り返させ、不必要な負荷をかけてしまったことを反省していると、村井チェアマンは語った。今回は白紙にリセットしたことで、ほとんどのJクラブが活動を一時的に停止させる措置を講じた。

この臨時実行委員会から4日後の4月7日、政府は緊急事態宣言を出した。対象となった7都府県には18のJクラブがホームタウンを置いている。専門家チームとのやり取りを介して楽観的観測を排除し、数時間後には白紙を決めた意思決定の速さは、評価されて然るべきだろう。

文=藤江直人

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