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一方、国語・数学の記述式問題については、萩生田文科相は中止の理由を次のように説明している。採点ミスの完全な解消がむずかしい。自己採点と実際の採点に乖離が起きる。質の高い採点体制ととることが困難である。

記述式なので、完全な正解もあれば、完全な正解ではないが部分点を上げるべき「不完全な答え」もある。40万人の受験生のなかには、全く同文の「不完全な答え」を書く人が何人もいるだろう。この全く同文の「不完全な答え」に対して、全国どこで受験しても同一の部分点が与えられるという保証ができるだろうか。考え得るあらゆる「不完全な答え」をあらかじめ想定して部分点を規定することはできるだろうか。少しでも言葉遣いが違うとき、それを的確に判断できる採点員を確保できるのか。このような問題点に対する答えが極めて怪しかった。

採点者をいくら複数人にしたところで、正確な部分点が与えられると想定することは難しい。さらに、採点者には8000人から1万人の大学生のアルバイトを採用することも発表されていたことも採点の質の面から不評を買っていた。

さらに受験生が自己採点をもとに出願先の大学を決めるわけだが、これも部分点のあらゆる可能性についてのガイドラインが公表されていなければ、自己採点の確度も落ちて、的確な出願ができなくなる。受験生の不安が大きくなっていた。これだけの欠陥のある記述式問題を廃止したことは、英断である。

大学受験はいろいろな意味で、事実上の「一発勝負」である。受験生が「公平性」への強い担保を求めるのは当然だ。改悪を防ぐことはできた。改革を再検討するとのことだが、是非大学や受験生の声も聴いてほしい。

文=伊藤隆敏

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