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AI通信「こんなとこにも人工知能」


一方、リソースがある大企業もシミュレーションに非常に高いコストを割いており、また多くの企業が、物理的に稼働し始めているロボットのアップデートに困難を感じていたという。

「そこで、ロボット開発時のシミュレーションとフリートマネジメントを効率的に行えると同時に、さまざまな機能を実装できるクラウドベースのサービスをリリースすることになりました」

「フリート」とは「何らかの集まり」という意味で、ここで言うフリートマネジメントとは、一定の基準でグループ化したロボットを一括で管理できる機能を指す。例えば、ある会社が世界中の倉庫に物流ロボットを提供していたとしよう。RoboMakerを使えば、数千~数万台というグループ化したロボット群を一括で管理・アップデートすることができる。なお、Barga氏によれば、ロボットのシミュレーションとフリートマネジメントを組み合わせて提供しているソリューションはまだ他に例がないという。

「Bastian Solutionsというロボットの構築を行っている企業は、ソフトウェアのテストに実際のロボットを必要としていたのですが、テストラボに設置できるロボットは8~10台が限界でした。しかしRoboMakerを使うことで実機を使うことなく35台以上のロボットのシミュレーションが可能となりました。現在、高齢者や障碍者のための歩行型ロボットを開発している企業、また地上移動型タイプのロボットを開発する企業ともやり取りが始まっています。ルンバで有名なiRobot、竹中工務店などにもRoboMakerを活用いただいています」

ひとつ気になるのは、ロボットを学習させる際のデータの行方だが、AWS側ではクライアントが集めたデータについては一切タッチしないとBarga氏。データの所有権およびメンテナンスの責任はクライアント側にすべて属すという厳格な基準を設けているという。

小規模な企業が活躍してこそ


AIロボット開発・運用の全体を効率的かつ低コスト化するソリューションをAWSがリリースした理由は何か。ロボット需要の高まりという背景はもちろんあるが、Barga氏ら企画を立ち上げたチームにはもうひとつの大きな理由があったという。

「例えば50万ドルもするロボットを製造・販売している企業であれば、専門的な知識やノウハウがあるので大掛かりな支援は必要ないでしょう。しかし我々は小規模なスタートアップが活躍してロボティクス技術を発展させてこそ、世界に無数の新たな付加価値を生み出していけると考えています。その基盤を整備してこそ、真の『ロボティクス革命』が始まると。新世代のイノベーターたちがRoboMakerを使ってくれることを強く望んでいます。もし将来的にビジネスをスケールする時、その真価を実感していただけるでしょう」

AWSの新ソリューションのように、中小サイズの企業、またベンチャー企業であってもロボット産業に挑戦できる環境や基盤はさらに今後も増え続けるだろう。誰もがロボットビジネスを始められる時代は刻一刻と近づいている。その際、成功を収めるために重要になってくるのは、「ロボットで何をどのように解決するか」というアイデアや課題設定など、“世の中を見抜く目”となっていくかもしれない。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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