元新聞記者のダイバーシティ・レポート

Photo by Ippei Naoi / Getty Images

未就学の子どもがいる家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者が訪問し、話を聴いたり、簡単な家事・育児を一緒にしたりするー。そんな英国発のボランティアが、日本でも始まって10年。孤立しがちな母親に寄り添い、虐待や産後うつから救うことにもつながり、「届ける支援」として注目されています。

現在は新型コロナウイルスの影響で、子育て支援施設が利用できず、幼稚園・小学校も休みで親たちの不安やストレスが増す中、訪問活動を縮小せざるを得ない辛さもあるそうですが、電話など声かけを続けているところもあります。

母親の支援は子どものため


NPO法人「ホームスタート・ジャパン」(東京都新宿区)によると、イギリスで1970年代、三児の母・マーガレットさんが家庭を訪問するようになったのが始まり。初めはクリニックや親子サロンで集まるうち、赤ちゃんがいたり、体調が悪かったり、出かけにくい母親から「自宅に来て」と言われ、「ありのままの自分を提供」したそうです。

当事者であり、資格を持つプロではない「素人」であり、権威側にいないボランティアの支援ということが好評でした。「大変な時もあるよね」とただ寄り添います。負担を抱えがちな母親の支援が目的ですが、最終的には子どものためです。「親自身がオーケーであると思えないと、我が子に心を向けられない。子どもが親元で安心して暮らすためには、親の気持ちを受け止め、一緒にいるよという人が必要」というのがマーガレットさんの考えでした。

1年ほどして、他の人にもできるのではないかと組織にし、ホームスタート活動を始めました。マーガレットさんの地元・レスターで8年ほど活動して全国に広げました。1980年代にはカナダ・オランダ・オーストラリア・アフリカ地域・スリランカ・ノルウェーなど海外にも広がりました。「どこに住んでいても、小さな子がいる家庭にはニーズがある。親が安定すれば、子育てはうまくいく」というのは、世界共通でした。

文=なかのかおり

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