I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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デジタル変革について教鞭をとる私は、学生に対しては紙のノートとペンを持ってミーティングに出るのは最新技術のポテンシャルを最大限に生かしていない行為だと長年にわたり注意し続けてきた。そんな私が感銘を受けた記事がこのたび、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された。

「Why the N.Y.P.D. dropped one of its oldest crime-fighting tools(ニューヨーク市警が最も古い犯罪捜査道具の一つを廃止した理由)」と題されたこの記事は、同市警の警察官が長年にわたり行ってきたメモ帳での捜査情報記録を廃止し、署が支給するiPhone内のアプリに置き換えたことを伝える内容だ。この記事で示されたように、手書きノートの使い勝手の悪さは明らかであるにもかかわらず、紙とペンに固執する管理職は今も存在する。

これは私に言わせれば、議論の余地があるものではない。紙の書類の内容を直接検索できるようなサーチエンジンは今のところ存在しない。議事録をスマホやパソコン、タブレットへ記録しておけば必要な情報を素早く取り出せるというのに、半年前の打ち合わせ内容を探して紙のノートをめくる必要がどこにあるというのだろうか。

デジタル機器での入力には時間がかかると言う人は、単に練習が足りないだけだ。ミーティング中に走り書きした要点や図、撮影した写真などのメモをその場で出席者と共有できる上に、書き上げた議事録を全員へ配布することも簡単にできる。後日、そのミーティングからの情報が必要となったら、検索ボックスへキーワードを入力するだけで、あっという間に欲しい情報が得られる。

こうしたアドバイスは決して目新しくも独創的でもなく、誰でも少し考えればすぐ分かることであり、授業中に取るノートから買い物リストに至るまで、ほぼどんな類似タスクにも応用できる。紙への記録は数千年前に発明された古い技術であり、環境への負荷も大きいが、それでもなお紙のノートに愛着を感じる人は多く、まるでカルトのごとく擁護する人までいる。

編集=遠藤宗生

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