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グローバル女子大学院生が見る「世界の20代のトレンド」

Getty Images(Chung Sung-Jun / スタッフ)

私は日本で生まれ育った在日韓国人3世だ。韓国には家族も親戚もおらず、ほとんどの時間を日本で過ごしてきたので、大枠の価値観や考え方は日本の方々に近いと思っている。

母国を少しでも知るために、3年前に韓国で1年間交換留学をした。その時、韓国社会に衝撃を受けた。私には楽しそうな若者が少ないように見えたのだ。今回は多くの文脈で注目を浴びている韓国の若者たちを中心に、実体験をもとに韓国の若者の「生きづらさ」について考えてみたい。

韓国といえばK-POPで世界的にも有名なアイドル文化、高身長で整った顔の韓流スターたち、サムスンをはじめとするテクノロジー、そして韓国の経済を支配する複数の財閥など、印象的な要素がたくさんある。どれも韓国が戦後に積み上げてきた努力により発達したものだ。

これだけ多くのシンボルを生み出した韓国人たち。将来を担う若者たちは今後どのようにこれらを発展させていくのだろうか。しかし同世代の実感としては、近年彼らは韓国の社会制度を懸念し、従来とは異なる生き方を模索しているように見える。

パーフェクトな競争社会が生み出す、報われない努力


韓国の受験戦争の激しさを、一度はニュースで見たことがあるだろう。息子や娘が小学校に入学した時から、大人たちは彼ら、彼女らの完璧な大学入学プランを立てる。ここまでは日本でも一部馴染みのある傾向かもしれない。

しかし深夜11時、12時まで勉強する学生の数の多さは異常と言えるかもしれない。多くの学生たちが小学生の頃から、学校が終わった後塾に通い、家に帰ってまた深夜まで勉強する。塾終わりの学生のために、遅くまで開いているカフェや食堂があちこちにあるくらいだ。

全員が満点に近い成績をとると、さらに問題のハードルが上がる。このようにして競争は激化する一方なのだ。大学に無事入学したと思いきや、次は就職活動。エリート大学を卒業しても、ある種の「燃え尽き」なのか、就職活動に嫌気がさし、フリーターもしくはアルバイトをして過ごす若者が年々増えている。就職した後も、組織の階級制度や過酷すぎる労働により、退職する従業員も増えている。

韓国の東亜日報が昨年行った調査によると、2018年に4年制大学以上を卒業した失業者の数は、過去最多の33万6000人で、前年よりも5%増加したという。また、高学歴にもかかわらず、無職の若者の人口も過去最大であると強調した。

頑張って「成功」を手にしたとしても、それが「幸せ」だとは限らない韓国社会。財閥に代表されるファミリービジネスの色が強いため、出世についても血筋が問われる場面も多い。このような理不尽な現象を目の当たりにしている若者たちは、大学在学中から不安を抱き始める。

韓国の大学生が休学する意外な理由


筆者が交換留学で1年在学していたソウルの私立大・梨花女子大学校では、休学を経験した学生の数は日本と比べかなり多い印象だった。当時知り合いの中で3人に1人は1学期分もしくは2学期分、過去に休学していた。

目的は大きく2つに分けられる。一つは大学の中間・期末試験による勉強漬けの毎日から起因するストレスで、休養期間としての休学を決心した学生たち。もう一つは、語学を習得するために休学して留学に出かける学生だ。イギリスの語学学校で出会った韓国人たちはみな休学をして来ていた。理由は次の通りだ。

「どうせ4年以内に卒業しても、良い就職先を見つけられない。卒業後、一生組織に奴隷のように使われるくらいなら、若い時間をもっと楽しんでおきたい。それに今は英語を喋ることができないと、どこにも就職できないしね。みんな当たり前のように喋れるんだ、すごいよね」

文=裵麗善/Ryoseon Bae

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