国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

トヨタ・ヤリス

もう「ヴィッツ」とは呼べない。これからは日本でも、世界で親しまれている名前「ヤリス」と呼ぶことになる。しかし、大々的に変わったのは名前だけではない。デザイン、プラットフォーム、エンジン、足回り、安全技術に至るまで刷新された中で、僕が一番関心したのは、駐車支援システム「アドバンスト・パーク」だ。

いつもの試乗記なら、僕はまずデザインのことから書いただろう。でも、今回は、日本の高齢化社会と自然災害に対応する技術から話そう。実際、プロトタイプの試乗をした袖ヶ浦フォーレスト・レースウェイでも、この話題で関係者と話が盛り上がった。

コンパクトカーのセグメントで、これほど優れた駐車支援システムが採用されたのは初めてだ。ステアリング操作、アクセルやブレーキまでクルマが制御して丁寧に駐車をしてくれる、微笑みを生む装備といえる。2回試したが、狭いパーキングでも実に精確だったし、意外に動きが速い。

また、シートも改革を迎えた。クルマの乗り降りを楽にしてくれるシートだ。前席を外側に回転すると同時に下にチルトさせる「ターンチルトシート」がオプション設定になっている。自然災害にすぐ対応できるハイブリッド仕様車には、オプションのアクセサリー・コンセントが装備。1500Wの給電能力があり、家庭用と同じコンセントで炊飯器、コーヒーメーカー、冷蔵庫などの電化製品が使える。

トヨタ ヤリスのターンチルトシート

新世代ヤリスは社会現象を起こすかもしれない。同車は、コンパクトカーの概念を変えると同時に、世界戦略車になろうとしている、とトヨタ関係者から聞いていた。さて、どれほど凄いのだろうか。

新ヤリスは、TNGAというプラットフォームを採用しており、ホイールベースは旧型より40mm伸びて2550mmになった。プロポーションは旧型とほぼ同様ながら、ヘッドライトやグリルが巨大化し、存在感を増している。さらに後輪回りのブリスターフェンダーがよりスタイリッシュになっている分、新ヤリスは旧型に比べてボリューム感が少し大きくなった感じがする。

今回のヤリスの外観は、今トヨタが優勝を重ねているワールド・ラリー選手権のマシンからのデザイン・フィードバックを受けている。それに、足回りのフィードバックもあるからこそ、走りは期待できる。



キャビンでもエルボールームやレッグルームが広くなったので、ワンサイズ上のクルマのような開放感がある。格好いいとまでは言えないが、プレゼンスはある。ただ、その分、後部席は多少狭く感じる。ラゲージスペースは旧型と同等で、大きな荷物を積む時は、分割可倒式になった後席の背もたれを倒して対応することになる。

文=ピーター・ライオン

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