クリエイターの本棚

『ストーリーで伝えるブランド シグネチャーストーリーが人々を惹きつける』(ダイヤモンド社)

旅するように、本を読む。一冊の良書は好奇心を刺激し、読み手を新たな書へと駆り立てる。

この連載では、新規事業開発や広告制作を手がけると同時に、本をこよなく愛する筆者が、知的欲求を辿るように読んだ書籍を毎回3冊、テーマに沿って紹介していく。第5回は、「真のブランド力を培う」ために読みたい3冊。


待っていれば、勝手に仕事が降ってくる。言われたことをやっていれば、それなりに食っていける。そんな時代は、もう終わった。企業も個人も、社会や会社から支持を得るためには「自分たちがこれまで何をしてきたのか(=実績)」、「自分たちに何ができるのか(=実力)」をしっかり発信していかなければならない時代が訪れている。

しかし、企業ブランド、個人ブランドを構築する上で、単純に「ファクト(事実)」を書き連ねればよいというわけではない。企業であれ、個人であれ、人の心に残る強いブランドを築くためには、「ストーリーテリング」が必要だと説くのは、ブランド論の大家、デビッド・アーカーである。

映画「トイ・ストーリー」シリーズのメガヒットをはじめ、次々にヒット作を世に送り出し、世界的に有名になったアニメーション・スタジオ、ピクサー。その創業者であるジョン・ラセターは、かつて「きれいなグラフィックスを作れば人を数分は楽しませることができる。だが、人々を椅子から立てなくするのはストーリーなんだ」という名言を残している。

その言葉をビジネスの世界に持ち込むならば、「ストーリーは、いかなる形で提示された事実よりも圧倒的に強力であり、20倍どころか200倍もの効果がある。ストーリーは露出を獲得する、ソーシャルメディアを賑わす、情報を伝達する、記憶に定着する、人を引き込む、説得する、触発する、等々において事実に勝っており、その違いは桁違いだ」というアーカー氏の主張に置き換えることができるだろう。

同氏による『ストーリーで伝える ブランド シグネチャーストーリーが人々を惹きつける』(ダイヤモンド社)には、ストーリーが持つ力、実践事例、具体的なストーリー構築方法が紹介されている。

ブランドの魅力を伝えるには、物語をつづることが重要だと分かったところで、いざ自分でやってみようと思うと、筆が止まってしまうというもの。そんなときにお薦めしたいのが、荒木飛呂彦著『荒木飛呂彦の漫画術』(集英社)だ。

荒木飛呂彦著『荒木飛呂彦の漫画術』

荒木氏と言えば、国民的な漫画連載となった『ジョジョの奇妙な冒険』が有名だが、本書は絵の描き方を指南するものではない。

文=川下和彦

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