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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

「採用がすごい」と言われる会社には、際立った特徴がある──。10月25日発売の本誌とウェブで展開中の「採用がすごい会社TOP10」特集に協力してもらったワンキャリアの最高戦略責任者・北野唯我氏に、2019年の採用戦線を総括してもらった。


新卒採用のリアルな動向を見続けてきた立場からいえば、昨今の採用市場における一番の問題は、企業の手法と学生の行動に「ズレ」が生じていることです。

多くの企業は、就活サイトや自社の採用ホームページで情報発信をしています。学生は確かにそうしたサイトを見ていますが、それよりも参考にしているのは、友人、就活仲間、家族など、身近な人の話です。企業選びにおいて彼らが重視しているのは、圧倒的に「クチコミ」なのです。

今回、TOP10企業の選出にあたり、学生の意識調査結果を母数に用いたのは、そうした理由からです。一般の就職人気ランキングとはだいぶ違う並びに驚くかもしれませんが、今回の調査は、学生自身の体験を一つの評価軸にしています。一方、人気ランキングは学生の認知度から測るので、むしろ現実と乖離しています。

広告による就活情報は、学生に通じにくくなりました。札束で人気ランキングの上位は買えない時代になったのです。

今年の採用市場のトレンドとしては、「透明化」と「難化」という二つの傾向が挙げられます。

2019年は、ライフシフトや働き方改革などの影響もあり、仕事選びのあり方が問われる年でした。クチコミが重視されるなか、個人の情報発信を通してそれが可視化され、企業の実相が伝わってしまう━━これが「透明化」です。言い換えれば、「嘘はバレる」。

もう一つが「難化」です。就職を希望する学生の数は横ばいなのに、企業の採用計画数は拡大傾向にあり、採用の難化はさらに深刻化すると考えられます。

TOP10に選ばれた企業の共通項は、採用を人事任せにせず、多くの社員が関わっていることです。人材の採用、育成に携わり、時に転職されたりといったことを多くの社員が経験しなければ、企業の採用力、人材育成力は向上しません。

採用環境が大きく変わるなかで勝っている企業は、透明化に対応しつつ、学生と誠実に向き合い、ちゃんと対話をしています。言行一致していない企業は、これからの採用市場においては淘汰されていくでしょう。


北野唯我◎1987年生まれ。神戸大学経営学部卒。博報堂の経営企画局・経理財務局、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、最高戦略責任者・経営企画執行役員に就任。19年1月から子会社の代表取締役も兼務。著書『転職の思考法』『天才を殺す凡人』はいずれもベストセラー。

文=間杉俊彦

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