AI通信「こんなとこにも人工知能」

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コーヒー豆の消費は年々増加傾向にあり、特に中国や東南アジアでは、年率5%超えの勢いで着実に需要が伸びているという。一方で、消費ペースに生産が追いついていないとの分析もあり、数年後には世界的に需給が逼迫する可能性が報じられるなど、より長期的には気候変動など自然環境の影響もコーヒーの生産量に影を落とすとみられている。

いまや人々の生活の中に溶け込んでいるコーヒーだが、「嗜好品に逆戻りするかもしれない」という愛好家にとっては悲しいシナリオがまことしやかに囁かれ始めている。

そんななか、人工知能(AI)やビックデータなど最新テクノロジーを用いて、コーヒーの生産過程を合理的に管理しようという動きがある。

10月初旬、フランスに拠点を構えるITコンサルタント企業・キャップジェミニの研究者が、「FARM(Financial and Agricultural Recommendation Models)」と呼ばれる農業ITプラットフォームを開発したと発表された。これは、農家の収穫量を増やし、バリューチェーンを最適化、最終的に世界の食糧供給を円滑にすることを目的に開発されたITプラットフォームだ。

FARMは、東アフリカに拠点を構え、農家向けにサービスを提供している社会的企業アグリックス(Agrics)と協力して開発された。FARMの最初のプロジェクトとなるのが、ケニアのコーヒー農家の支援である。

今回FARMプロジェクトに導入される人工知能は、DIAS事業者である「Sobloo」のプロジェクトなどから提供される衛星データ、またアグリックスの農場データを分析するために使用される。なおDIASとは、人工衛星から取得した衛星データを無料かつ自由に使えることを目指してつくられた欧州のデータプラットフォームだ。

分析されたデータは、各農家に適切なアドバイスを提供する用途で使用される。アドバイスはSMSなどを通じて送ることができようになっており、例えば農作物に被害を与える天災が近づいている場合には警告を発することもできる。

衛星によって取得されたオープンデータ、現地で収取されたデータ、そして人工知能を用いて農家のデジタライゼーションを支援するというのがFARMプロジェクトの中心的なコンセプトとなりそうだが、農村の収穫高、ひいては所得や収入増加、最終的にサステナブルな食物供給のエコシステムを生み出すAIのユースケースとなるのか注視したいところだ。

なお、世界の食糧需要は2050年までに約60%増加すると予想されており、その食糧生産のほとんどは主に発展途上国の農民によって支えられるとの見通しもある。ケニアのコーヒー農家だけでなく、その他の多くの農家にとってAIプラットフォームが積極的な役割を果たすことを期待したい。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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