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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ブラジルのイゴール・フラガ選手(Photo by Adam Pretty/Getty Images for Gran Turismo)

リアルなのか、それともバーチャルなのか。世界随一の人気を誇るレーシングゲーム「グランツーリスモ」の国際大会のライブ映像は、その区別がつかないほどだ。ゲームがゲームを超えた──。筆者が見た新たな現実とは。


6月下旬、ドイツの名門サーキット「ニュルブルクリンク」では、恒例の24時間耐久レースが開催された。ニュルブルクリンクは、ドイツ西部のアイフェル山地にある世界一長く、170以上のコーナーがある過酷なコースだ。毎年この頃、同サーキットで160台以上のマシンがいっせいに24時間のレースに挑む。

それに併せて、隣の特設会場ではレーシングゲーム「グランツーリスモ(以下、グランツ)」の国際大会「FIA-GT選手権ワールドツアー第2戦・ニュルブルクリンク」編が開催された。3月にパリで始まったシーズンは、ニュルブルクリンク、ニューヨーク、ザルツブルク、東京と続き、11月末のモナコで行われるワールドファイナルまで、全6戦で構成される。グランツのこの大会は、最近話題のeSportsの進化版、いや究極版だ。

会場の左側の大画面でグランツのバーチャル世界が繰り広げられているのに対して、右側の大画面には本物のニュルブルクリンク24時間耐久レースの生中継が同時に流れている。コースコンディションと天気の具合で本当にどっちがどっちだかわからなくなる。それくらい最新のグランツは高画質でクリアだ。色も光も音も本物以上。ウィンドスクリーン(風防)に落ちる雨の雫も超リアル。

大画面の前に設置されたステージの上にグランツのコンソール(ハンドル、シート、薄型テレビとペダルが付いたフレーム)が12人分置いてある。そして主役は、予選を勝ち抜いて全世界から集まった55人のゲーマー、いや“ドライバー”たちだ。

グランツの作戦は見事である。国際大会を実施するなら、本物のニュルブルクリンク24時間耐久レースのタイミングに合わせることで、話題性があるし、レース好きやクルマ好きが大勢応援に来てくれる。世界中から集まった選手たちの試合が終わると、そのまま本物の24時間レースを見学し、自分たちのプロデビューを夢見る──。なんてよい刺激だろう。

FIAも「モータースポーツ」に認定

グランツのシリーズは2つある。1つは個人戦の「ネイションズ・カップ」で、もう1つはチーム戦「マニュファクチャラー・シリーズ」で対戦する。まずは、24人が「ネイションズ・カップ」の4戦に挑む。彼らが走るバーチャルのサーキットは、イタリアのサルデーニャ、ドイツのニュルブルクリンク、英国のグッドウッド・サーキットとオーストリアのレッドブル・リンクで、マシンはコブラやカウンタックのようなクラシックカーから、F1のフォーミュラカーまで各選手が“乗り”回す。現実世界のレース条件を再現するかのように、各ドライバーは燃料補給と、ソフト、メディアム、ハードの3種類の使用する順番やタイヤ交換する作戦を立てなければならない。

「ネイションズ・カップ」では、昨年の王者でブラジル人のイゴール・フラガと、スペイン人のコキー・ロペス、そしてオーストラリア人のコーディ・ラトコフスキーの3選手が特に凄まじいバトルを繰り広げ、最後まで激戦した結果、優勝したのは再びフラガ選手だった。

文=ピーター・ライオン

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