I write about interesting Chinese companies

rafapress / Shutterstock.com

中国のフードデリバリー市場において、Eコマースの巨人アリババは競合との戦いに苦戦している。アリババ傘下の「ウーラマ(餓了麼、Ele.me)」は、この市場の主導権を握れていない。中国人の食欲を今、出前で満たしているのは「美団点評(Meituan Dianping)」だ。

調査企業Trustdataが先日発表したデータで、北京本拠の美団は市場規模840億ドル(約8.9兆円)の中国フードデリバリー市場で、65%のシェアを握り、2位のウーラマ(27.4%)を大きく引き離した。

香港市場に上場する美団の株価は、今年に入り80%の上昇となった。同社の創業者のWang Xingの保有資産は今年初めの38億ドルから、現在は62億ドルに伸びている。

アナリストらは美団の今後を楽観している。「今後は利幅の縮小も予想されるが、かつてのような赤字状態からは脱出した」と調査企業86 Researchの担当者は話した。

美団が8月23日に発表した、2019年4~6月期の最終損益は8億元(約120億円)の黒字だった。前年同期は77億元の赤字だった。売上高は227億元で前年同期に比べて約5割伸びた。営業利益は11億元で、前年の28億元の赤字から大きく回復した。

美団はウーラマを凌ぐ勢いで、レストランと独占契約を結んでおり、配送ルートの効率化により、配達時間の短縮や低価格化を実現した。対するアリババは、無料クーポンのバラ撒きで顧客を取り戻そうとしたが、成果はあげられていない。

香港のリサーチ企業Bernstein ResearchのアナリストのDavid Daiは、「美団の顧客ロイヤリティは、アリババが当初予想していたよりも、ずっと高い」と述べた。

「中国人消費者は価格に敏感だとよく言われるが、誰もが2つのアプリを立ち上げて、値段を比較する訳ではない。提携レストラン数を伸ばし、迅速な配達を実現することで美団のビジネスは好循環を作り上げた」とDaiは話した。

年間のアクティブ利用者4億6600万人を抱える美団は今、さらなる収入を広告で得ようとしている。アプリ内のバナーや、検索結果に表示される広告スペースを、レストランに販売するのだ。

成長余地はまだまだ大きい

一方でアリババも美団との戦いを今後も継続させていく計画だ。アリババはかつて美団が初期の基盤を築いた、地方都市への注力を開始している。今後は2社の間の価格競争が激化し、11月のEコマースの祭典「独身の日」に向けて、値引き合戦はさらに加熱していく見通しだ。さらに、冬場は配達員に追加で賃金を払う必要があり、フードデリバリー業界は今後も利幅の減少に直面することになる。

しかし、アナリストの間ではこの市場の成長は今後も続き、利幅減少のダメージを受けないとの見方が優勢だ。「この市場では、コスト削減ではなく、売上の増大により収益性が改善していくだろう。フードデリバリー分野の成長余地はまだまだ大きい」と、Bernstein ResearchのDaiは話した。

編集=上田裕資

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい