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令和のナイチンゲールたち

PHOTO MIO JAPAN / Getty Images

さまざまなこどもたちに無償もしくは低額で食事を振る舞う「こども食堂」が近年注目されている。

こどもたちの居場所にもなっているこの活動は市民主導ではじまったものだ。しかし最近は企業や行政もこの取り組みを支援するケースが増えてきている。その中でもSNSを使ったユニークな支援を打ち出したのが大手食品メーカーのカゴメだ。

同社が8月1日に投稿した下記内容がリツイートされた回数と、同社が指定した#野菜の日 #こども食堂を応援したい という文字列を入れたツイート回数を集計。合計した数の本数分、同社の野菜ジュースを全国のこども食堂へ送る。この取り組みは全国初で、期間は野菜の日にちなんだ8月31日までだ。

8月25日時点で5000を超えるリツイートを集めている支援方法について同社に聞いた。

──こども食堂に注目した理由を教えて下さい

弊社はもともと野菜の会社として“ニッポンの野菜不足をゼロにする”という目標を掲げており、そのためにこどもたちが野菜を好きになってくれるような食育に取り組んできました。その過程で、同じようにこどもたちの食に向き合うこども食堂を意識するようになり、弊社としても何かお手伝いが出来ないかと考えたのがキッカケです。

──今回の支援方法はどのように考えたのですか?

当初は野菜ジュースを直接的に寄付するという話もありましたが、実際にこども食堂に関わってる方々にお話を伺うと知られていない誤解があることが解りました。世間では多くの人が「こども食堂=貧困層救済活動」のような捉え方をしています。しかし実際には大人である運営者自信を含めた暖かいコミュニティであり、経済状況を問わず参加したいこどもを広く受け入れているケースは多いのです。

確かに経済的な課題を抱えるこどもたちに栄養のある食事を提供する場でもあるのですが、気軽に参加してほしい運営者の中には、貧困対策だけをしているかのようなイメージに困っている方もいらっしゃいました。

──確かにそのイメージのせいで行くのをためらってしまうという声は良く聞きます

偏見が払拭されないと、経済的問題が小さい子は自分が参加していいのか不安になるし、経済的問題が大きい子には世間の目が苦痛になります。多くのこどもたちが参加しやすいよう、楽しい居場所を作るコミュニティを知って欲しい。もっと身近に感じてほしいとの声をいただきました。

そのためには弊社が野菜ジュースを送る主体者になるより、多くの方々がこども食堂のことを知り、接点を持つキッカケを作れればと考えました。野菜ジュースをキッカケ作りのために使い、最も気軽に参加できる場としてツイッターを選んだところ、非常に多くの方が情報発信に協力くださいました。

──こども食堂の実施を発表したコンビニチェーンに対し、こども食堂界隈とは別の専門を持つ研究者が大手メディアで批判を展開した前例もあります。その影響でこども食堂の支援を見送った企業の話も聞いていますが、炎上のリスクはどのように考えていましたか?

何が必要とされているか、こども食堂に関わる方々に教えていただいて作った取り組みですが、炎上のリスクも考えられました。不安から公開のタイミングでは高熱を出したほどです。

社内でも賛否があり、どこにも公開せず野菜ジュースを配るだけで良いのではないかという意見もありました。しかしそれではこども食堂を身近に感じてもらうキッカケ作りはできません。一番大切にすべきなのはこども食堂を運営なさっている方々と、その先にいるこども達です。こども達のために弊社が出来ることを教えてもらったのですから、批判を恐れず勇気をもって実行しました。

文=秋山宏次郎

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