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THE TRUTH


J1の通算出場試合数の歴代ランキングを見れば、現役組で遠藤に続くMF阿部勇樹(浦和レッズ)とGK曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)はほとんど出場機会を得ていない。10位に名前を連ねる38歳のMF中村憲剛(川崎フロンターレ)も、今シーズンの前半戦はけがで欠場が続いた。大卒選手という事情もあり、今後4年半ほどコンスタントに出場し続けてようやく600試合の大台に到達する。

ウィルス性肝炎で戦列を2度離れたことはあるものの、大きなけがとはほぼ無縁のサッカー人生を歩んできた遠藤のすごさがあらためて伝わってくる。試合中に怪我を負わないのはポジショニングに秀でているからであり、日々の練習などでは不必要な負荷をかけないように体との会話を続ける。ストレスもやがては故障につながると考え、食事にもほとんど制限を設けてこなかった。

立ち居振る舞いと同様に私生活でも飄々と自然体を貫いてきたからこそ、前人未踏の数字に到達した。もっとも、ヴィッセル戦がそうだったように、直近のリーグ戦では途中出場の方が多い。中盤ではリオデジャネイロオリンピック代表の25歳、矢島慎也が存在感を高めている。40歳を前にして押し寄せてくる世代交代の波に、それでも真正面から抗っていきたいと遠藤は静かに闘志を燃やす。

「もちろん何歳になっても先発で出て、チームを数多く勝たせたい。そういう思いは18歳のころから何も変わらないし、ただ単に(出場試合の)数字を重ねていってもしょうがない、という思いもあるので。ただ、監督が決めることなので、練習からいいパフォーマンスを見せ続けて、あとは自分ではどうすることもできないと思っていますけどね」

このオフは楢崎さんだけでなく、川口能活さん(前SC相模原)、中澤佑二さん(前横浜F・マリノス)、同じ1979年度生まれの黄金時代の一人、小笠原満男さん(前鹿島アントラーズ)ら、日本代表でも喜怒哀楽を共有した盟友たちが続々と現役に別れを告げた。

一方で今夏には41歳のMF中村俊輔がジュビロ磐田からJ2の横浜FCへ、黄金世代のトップランナーだったMF小野伸二が北海道コンサドーレ札幌からJ2のFC琉球へそれぞれ出場機会を求めて移籍した。J3ではMF稲本潤一(SC相模原)、MF本山雅志(ギラヴァンツ北九州)が、九州サッカーリーグではFW高原直泰が沖縄SVの代表、監督、そして選手と三足の草鞋を履いて奮闘している。

「世代が近い選手たちが現役をやめる年齢ではありますし、若いときから一緒に戦ってきたメンバーがいなくなるのは寂しい部分もあります。ただ、お互いに努力を積み重ねて、ライバル視しながらやってきた仲間たちを誇りに思うし、そういう選手たちと戦ってきたからこそいまの自分があるとも言える。だからこそ日々努力して、もっと楽しく、もっと上手くサッカーがしたい」

1979年度生まれの黄金世代のなかで、トップカテゴリーのJ1リーグで最も濃密な軌跡を刻み続けている遠藤は、こんな言葉をつけ加えることも忘れなかった。

「自分自身はいまのところ、やめる気はまったくないので」

公式戦1000試合出場の偉業も、遠藤にとってはあくまでも通過点。ガンバの悲願だった2005シーズンのJ1初優勝を選手同士で味わった宮本恒靖監督へのアピールも込めながら、遠藤はまだまだ上手くなる自分自身の姿を貪欲に、そしてマイペースで追い求めていく。

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文=藤江直人

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