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人は一般的に、頭の中で聞こえる小さな声を大事なものだと考えることはないかもしれない。むしろ、おしゃべりで理性的な声で頭はいっぱいになる。だが、本能の声を聞き、それに従うのは、リーダーに必要とされることだ。

私は何年も前に「速く進むにはゆっくり歩け」という言葉を学んだ。リーダーたちに対してコーチングをすると、社会人の多くが、速く進み過ぎるがあまりにある重要な情報源を活用できていないことが分かる。それは自分の直観だ。

著名な認知心理学者のゲイリー・クラインが著書『The Power of Intuition(直観の力)』の中で述べているように、優れた意思決定ができる人は、素早く効率的な決断を下す上で、自分の経験上の強いパターンに頼っている。

難しいのは、流れに乗ってその場に合わせた行動を取ることで、思慮深い内省を犠牲にしてしまうことだ。頭の声を聞いても、心や直観には耳を傾けなくなる。正しいデータや正しい見識を全て備えていたとしても、自分の直観に耳を傾けなければ、それが“しっくりくるか”という勘は得られない。

それに結局のところ、理性が必ずしも最善の情報源とは限らない。自分のエゴによって保身や抵抗、恐怖心が生まれ、過度に分析をしたり、自分の判断に自信がなくなったりしまう。

ただ、意思決定に関わるのは思考だけではない。毎日マインドフルネスと意識を鍛えることで、直観をより活用し、思考を進化させることさえできる。またその直観を使って、チームを組み立て、メンバーが協力して解決法を見つけるよう促すことも可能だ。従業員のエンゲージメントが下がっていることを認識し、それに対処することができる。直観を使ってうまくいっていないことを是正し、チームを高いパフォーマンスへと引き戻すこともできるのだ。

一つ例を挙げよう。中規模企業の最高経営責任者(CEO)であるハワードは、直属の役員を9人抱えている。

彼は最近、役員らにとってチャレンジとなる大きな課題を与えた。それは、顧客からのクレームを大きく減らすこと、そして顧客ニーズに対応する新たな製品やサービスを作ることだった。チームは週次経営会議で、この壮大な目標に対する進捗を共有したが、ハワードは直観的に動きが遅いと感じていた。はっきりと特定できないような士気の低さだ。

そこでハワードは最近の社内イベントで、違った種類の議論を切り出すための方法として、自分が感じた直観について言及。ハワードはこうすることで、進捗を妨げている障壁を除去できるのではと考えたが、その狙いは的中した。彼のチームは、自分が恐れていることや、ためらい、こうした大きな課題に立ち向かう上での想像力の欠如について、率直に話し始めたのだ。その結果、チームは協力して前進することができた。

編集=遠藤宗生

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