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Forbes JAPAN Web編集部

「まずい棒」考案者の寺井広樹さん

家族や友人の前で、再出発の決意を前向きに誓い合う「離婚式」や「涙活」の考案者である寺井広樹さんは、銚子電気鉄道と「まずい棒」を企画から練り、2018年の夏に商品化させた。

そしてこの”電鉄なのに、自転車操業”の苦しい状況を救ったまずい棒には、おかしな誕生秘話がある─。


──まずい棒を、銚子電鉄と作ろうと思ったきっかけを教えてください。

もともと銚子電鉄との出会いが、銚子電鉄で「ありがとう駅」が誕生した時の新聞記事を、私の父が読んだことなんです。それで当時「ありがとう」という本を出した私に、父が「ありがとう駅に、本を置いてもらったらどうか」と提案してくれました。

そこで私が銚子電鉄に電話をし、本を置かせて貰えないかお願いすると、銚子電鉄の取締役の方が「一度会いましょう」と言ってくださり、その日のうちに会って意気投合したんです。

私には以前から「まずい棒というスナック菓子を作りたい」という、漠然とした思いがありました。銚子電鉄の竹本勝紀社長も、利用客の減少などが原因で「経営まずいな、まずいな」とずっと仰っていたので、まずい棒の商品化を打診し作ることになりました。

それで、まずい棒を作ろうとなった時、とにかく味を不味くしなければいけないと思って、不味い味をひたすら研究しました。

──例えばどういう味を?

めちゃくちゃ辛いのは不味いんじゃないかと思って試しました。でもただ口の中が痛くなって、辛いだけなので意外と食べられるんですよ。これは食べれてしまう、ダメだなと思って、牛のよだれとかも考えました。

──牛のよだれ...。

『商いは牛のよだれ』という、ことわざにちなんで「牛のよだれ」を混ぜたらどうか?と。

──よだれは本物の?

本物の。

──それ、まずいんじゃないですか...?

まずいですよね。

最終的に、無味無臭が不味いんじゃないかっていう結論に至ったんですが、無味無臭イコール「氷」だったんです。それでまたダメだってなって。発泡スチロールとかも味見してみましたが口がパサパサになって、食感もダメで飲み込みませんでした。

それから2年くらいずっと悩み続けて、「どうやったら不味いものを作れるんだろう」と研究を重ねました。煮詰まって去年の5月くらいに、私の父に相談したら、「不味いものを作っても、売れないだろう」って(笑)。

──それでまた最初に戻るんですね。

はい。宴会の罰ゲーム商品みたいな感覚で買うかもしれないけど、リピーターなんていないですよね。

ネーミングが“まずい”でも、味は美味しくて良いんじゃないか、「経営状況がまずい」という事と、かければ良いんじゃないかという発想をひらめきました。そしたら、竹本社長が「それいいですね!」ってなって、そこから一気にスイッチが入りました。

本家に対するリスペクト、姿勢は「絶対に諦めない」

昔、北海道の人気土産「白い恋人」を真似て、吉本興業が「面白い恋人」を販売したら訴訟が起きましたよね。そういった前例もあるので販売するのであれば、とてもうまいあの国民的駄菓子を手掛けているA社さんに、仁義を通さないとまずいという話になったわけです。

最初、私が先方に電話で説明してお叱りを受けたんですが、それでも竹本社長は「寺井さん、絶対諦めちゃダメですよ」って励まして下さいました。

文=須貝直子

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