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Forbes JAPAN Web編集部


会社を再起させ続ける、竹本社長の存在

──その熱意の結果「まずい棒」は売上本数が100万本になったとか。

そうです、10カ月で100万本売れました。

──売れ続けさせるために何か工夫されたのですか?

味を変えて、飽きさせない事ももちろん意識しましたが、最近ではヒカキンさんら、ユーチューバーの方々が紹介してくれて、商品の知名度が上がりました。

でも、ベースにあったのはやはり、竹本社長のなりふり構わぬ経営姿勢です。竹本社長の、前の前の社長は、不正を働いて離職したんですが、一番大変な時期に後任として竹本社長が就任しました。

これまで、様々な取り組みを行って会社を再起させてきた竹本社長は、銚子電鉄の救世主的存在ですし、私の「まずい棒」のアイデアに乗って下さる方は世界中どこを探しても竹本社長しかいないと思います。


銚子電鉄の竹本勝紀社長。社長自ら、電車の運転免許を取得し、電車を運転する。

今年の秋に公開される映画「電車を止めるな!」を制作しようと、クラウドファウンディングで資金を募ると500万円集まりました。銚子電鉄は、とにかく皆さんから愛される鉄道会社なんです。

──500万円はすごいですね。映画はどういった内容ですか。

去年の10月末ぐらいに竹本社長から「『電車を止めるな!』という映画を作るから、協力して欲しい」とリクエストをいただきました。タイトルは社長が決めて、私は原作・脚本を担当しています。

あらすじは、廃線寸前の鉄道会社が、起死回生の心霊電車企画を立ち上げるんです。参加者を募り、深夜に電車を走らせると、初めは鉄道会社社員がやらせで心霊現象を演出したんですけど、本当に心霊現象が起こる、みたいなそんな内容です。

──タイトルはどこかで聞いたような...。

「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督に会いに行って、タイトル使用のOKをいただきました。竹本社長ご自身もおっしゃっていますが、「真面目にふざける」が銚子電鉄なんです。

──「電車を止めるな!」というタイトルが切実ですね。

はい。2年後に、変電所の改修工事があって、これが2億円かかるんです。映画はコケるわけにいかないんです、電車が本当に止まりますから。

マイナス要素をプラスに「ひっくり返す」

──寺井さんの企画は、絶妙なバランスがあります。

これまでやってきた企画の多くは、パクリとリスペクト(パクリスペクト)で成り立っています。まずい棒の場合、オリジナルアイデアの派生ですが、「うまい」から「まずい」にひっくり返しています。

ネーミングを先に考えて、中身を詰めていく感じです。まずい棒も、名前だけ聞いても興味持ってもらえるだろうし、一度は買ってみたくなるだろうと思っていました。

私が考える企画は、基本的に何かしら深刻な事象がベースにあります。離婚式の場合だと、離婚自体が深刻なものですよね。まずい棒も「経営がまずい」という、銚子電鉄の深刻な経営状況がベースにあります。

どちらもマイナスの要素を、プラスに昇華していくという点では共通しています。ネガティブ要素だけでは何も解決できないからこそ、ある意味、開き直ったり自虐的であっても、前向きに捉える発想を大切にしています。




寺井広樹◎文筆家。同志社大学経済学部卒業。怪談の蒐集や超常現象の研究をライフワークとしている。『日野日出志 泣ける! 怪奇漫画集』(イカロス出版)、辛酸なめ子との『あの世の歩き方』(マキノ出版)など著書は50冊を超える。地方創生を目指し企画プロデュースした、「お化け屋敷電車」や「まずい棒」が話題になり、2019年夏公開のドキュメンタリー映画『伝説の怪奇漫画家・日野日出志』では監督を務める。

文=須貝直子

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