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Gettyimages

テック業界の巨大企業にとって近年、ユーザーのプライバシーの保護は最重要課題になった。そんな中、アップルはユーザーの個人データをマネタイズに利用しない姿勢を鮮明にし、グーグルやフェイスブックに差をつけようとしている。

今年1月の米ラスベガスの家電見本市「CES」を控え、アップルは「あなたのiPhoneのデータは、その端末の中だけに保持される」と屋外広告で述べ、そのスタンスを強調した。

アップルは今、さらにもう一歩踏み込んだメッセージで、グーグルと距離を置こうとしている。そのメッセージというのは、グーグルの関連企業の「サイドウォーク・ラボ」が、カナダのトロントで進めるスマートシティプロジェクトの隣に掲示されたものだ。

アップルの屋外広告にはiPhoneのイラストが描かれ、「私たちはあなた達のビジネスと距離を置く」とのメッセージが添えられている。ここでいう“あなた”とはグーグルのサイドウォーク・ラボのことを指している。

グーグルは9億ドル(約980億円)の予算を投じ、トロントのウォーターフロントを再開発し、低所得者層にも手ごろな価格帯の住宅を提供し、クオリティの高い暮らしを実現すると述べている。しかし、グーグルの本当の狙いは人々のデータを絶え間なく入手することにあると報じられ、強い批判も湧き上がった。

グーグルは現地で得られたデータを、個人の同意を得ずに外部に販売することはないとしている。しかし、ここ数年、巨大テック企業が利用者の信頼を裏切る事態が頻発しており、同社に対しての疑念も高まっている。

米国のベンチャーキャピタリストのRoger McNameeは、グーグルの試みを「監視データをマネタイズするプロジェクト」であると述べた。

「グーグルはトロントでディストピアを実現しようとしている。彼らの行いは民主主義的価値観とは相容れない」とMcNameeは主張している。トロントでのプロジェクトが完成し、入居が始まるのは早くても2022年頃になる見込みで、今後も議論が続きそうだ。

一方で、アップルは今後も、プライバシー保護の点でグーグルらとの差を打ち出していく見込みだ。

グーグルやフェイスブックが今後直面する課題は、ユーザーの個人データをマネタイズするビジネスモデルをどう正当化していくかだ。アップルもここが彼らの弱点であることに気づいており、政府の規制当局も同じ点に着目している。

ただし、消費者がどこまでプライバシーを重視しているかは定かではない。グーグルに求められるのは、適切なデータ保護ポリシーを確立しつつ、同社のビジネスモデルを維持していくことなのかもしれない。

編集=上田裕資

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