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起業家はどんなスキルを持っているのかと調べたところ、「プログラミング」が1つの答えだったというわけだ。Ruby on Railsなどの開発用フレームワークの基本を学んだ後、クロスが得たのは技術の知識、そして自信だ。同時に、ハイテク業界に女性が少ないことを実感する。

「(自分のソーシャルメディアの)オーディエンスのほとんどが若い女の子。私の体験をシェアできるだけじゃなくて、彼女たちを支援できる、彼女たちの人生にインパクトを与えることができると気がついた」──クロスは試しに2015年、コードを学習する女の子20人に奨学金を支給することをソーシャルメディアで発表した。応募者は1万人以上に。こうやって始まったのが、Kode With Klossyだ。これは13歳から18歳の女の子を対象とした、コンピュータサイエンスの考え方や基礎スキルを学べる2週間のブートキャンプだ。

ITは男性だけではなく、誰もが使う技術

「女の子たちは学びたいと思っている。将来を作る動きの一部になりたいと思っている。そのスキルを身に付けたいと思っている。そして、彼女たちは実にクリエイティブでコラボレーションが上手」とクロス。そして自分の取り組みは、IT業界に女性が少ないという問題で課題に挙がるパイプラインの解決策になるとも信じている。


Kode With KlossyのHP

これがSAPとの協業のきっかけとなる。SAPのティルマンはこう言う。「SAPは企業としてジェンダーの平等にコミットしており、幹部への女性を増やしたいと思っている。だがSAPだけでなくIT業界全体で女性が活躍できると思っており、Kode with Klossyはそのインスピレーションになる」。

これに対してクロスが「ITは男性だけではなく、誰もが使う技術。女性の視点を持つことは重要だと思う」と言うと会場からは拍手が起こった。

20人でスタートしたKode with Klossyは今年、1000人を対象にする。SAPだけではなく、WeWork、Wix、Estee Lauder、Adidasなどの多彩なパートナーの支援を取り付けているところは、ビジネスパーソンとしてのクロスのスキルが垣間見れる。

なお、クロスの活動はコードキャンプだけではない。次世代のデザイナーを支援するProject Runway、グルテンフリーのクッキーブランドKalies Kookiesなども展開している。

「人を助けたい、教えたいという気持ちが私のモチベーション。私も少女だった。少女たちが自分の夢を実現させるのを助けたい」とクロス。保育士、医師を夢見た少女は、別の形で人に教えたり助けることを実現させている。

文・写真=末岡洋子

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