挑戦する人と挑戦する企業をつなぐ、Forbes JAPAN 初の採用ブランディング

地上波ではほとんど観る機会のなくなったプロ野球中継だが、観客動員数はここ数年で右肩上がりを続けている。一般社団法人日本野球機構発表の公式戦入場者数では、実数発表をはじめた2005年時点で2000万人弱だったが、2018年は約2555万人と約130%の伸びとなっている。

その要因の一つが、ソフトバンクや西武、楽天などが所属するパ・リーグの動員数の伸長だ。2005年は約825万人だった動員数が、2018年には約1132万人と約1.4倍に。1試合あたりの平均観客動員数も年々セ・リーグとその差を縮めている。

「野球ファンの方であればご存知かと思いますが、2004年に球界再編が行われ、プロ野球を取り巻く環境は大きく変わりました。それまでは言わば『親会社の広告宣伝活動の一環』とされ、赤字運営の球団も少なくなかった。けれどもメジャーリーグは商業的に成功している。その成功事例にならい、2007年にパ・リーグ6球団出資のもと当社が設立されたのです」。そう話すのは、パシフィックリーグマーケティング株式会社代表取締役の根岸友喜氏だ。

大手旅行代理店や外資系メーカーでセールスやマーケティングに携わり、2007年に楽天野球団に入社した根岸氏。事業企画と広報の責任者を務め、2013年にパシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)へ入社。ネット配信や6球団共同プロモーションの企画などを成功させ、2017年7月から現職に就いた。選手経験もない根岸氏がこの世界へ入ったのは、日本のプロ野球の持つポテンシャルに惹かれたからだという。

「野球自体は必ずしもグローバルなスポーツではありませんが、日本ではもっとも市場規模の大きいプロスポーツであり、高校野球からの文脈もあって、文化として根づいている。仙台や札幌などを見てもわかる通り、ホームグラウンドを中心に街は活性化しています。野球にはもっと社会を元気にしていける力がある──。その可能性を信じているんです」

パ・リーグ6球団の共同出資で設立


PLMはパ・リーグ6球団の共同出資という性質上、2007年の設立当初は各球団から職員が派遣され、「寄り合い所帯」的な側面もあった。当然、企業文化も判断基準も異なり、足並み揃えてとは程遠かった。

「収益性を上げることと『業界全体で盛り上げていこう』という総論は共有できているものの、方針はそれぞれまったく違っていた。当時、なんとかまとめようと奮闘されていた方々の尽力には頭が下がるばかりです」

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PLMが手はじめに取り組んだのは、各球団の公式サイトと携帯サイトの一括管理だった。各球団共通のCMS(コンテンツ管理システム)を導入し、サーバーを一括購入するなどコスト削減を図った。積極投資をせずとも、すぐに効果の出やすいところから収益構造の改善を図ったわけだ。

その後、2010年にはパ・リーグ公式サイトを開設し、EC事業も開始。リーグのオフィシャルスポンサーと協賛契約を結ぶなど、「6球団でやったほうがいいこと」「1球団ではできないこと」にフォーカスし、少しずつ成長戦略を描いていった。

2012年、コスト削減と6球団での足並み合わせに徹していたPLMが、大きな一手に出る。「パ・リーグTV」の開設だ。それまで他社に委託し、レベニューシェアで収益の一部を得る「ローリスク・ローリターンモデル」で運用していたパ・リーグ主催試合のネット動画配信事業を、リスクを取って自社運営に切り替えたのだ。

「そもそも各球団の親会社を考えれば、かたや『スピード勝負』のIT系、かたや『安心安全』の鉄道や食品系ですから、当然、哲学も違うわけです。けれども『パ・リーグTV』という共同商材を自社でやることで、『この事業を成功させるにはどうすればいいか』と共通認識を持つことができる。我々にとってパ・リーグTVは拠りどころの一つになったのです」

この決断は吉と出た。設立初年度の2007年は約1.7億円だった年間売上が、2016年度にはおよそ10倍の17億円にまで上った。このおよそ10年のあいだに、ファンのプロスポーツとの関わり方が大きく変わってきたことは、多くの人にとって想像に難くないだろう。SNSでチームや選手の公式アカウントをフォローし、試合の日はリアルタイムで速報をチェック。スマートフォンで試合のハイライト動画を視聴し、家に帰ればスマートデバイスやネット接続型のテレビで試合の動画配信をじっくりと観戦する――。

もはや、地上波の試合放映にこだわらずとも、いつでも気軽にプロスポーツを楽しめるようになってきた。ファンとプロスポーツとの接点が多様になり、ファンの裾野が広がってきたのだ。パ・リーグTV、そしてPLMはまさにその波にうまく乗ることができたと言えるだろう。

スポーツ配信の黒船、「DAZN」との手に汗握る交渉


そして2017年、PLMは更なるターニングポイントを迎える。前年の2016年夏に日本でローンチしたスポーツ専門ネット配信サービス「DAZN(ダゾーン)」との契約交渉に臨むこととなったのだ。2017年当時、試合の動画配信は自社のパ・リーグTVが行うほか、ソフトバンクが当時運営していた「スポナビライブ」にもライセンスを販売する形で行なっていた。そこにイギリス発のDAZNが名乗りを上げた。

ネット配信権のライセンス先が増え、収益が上がることはPLM、ないしはその株主である各球団にとってやぶさかではない。けれども言わばDAZNはパ・リーグTVの、そして親会社のソフトバンクや楽天が運営する動画配信サービスの「競合」になり得る。極めて慎重な交渉が要求されることとなった。その交渉の取りまとめに臨んだ根岸氏は、こう振り返る。

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「楽天とソフトバンク、DAZNには収益性や露出などに紐づいたプランを複数用意してもらい、それぞれのメリットデメリットを提示してもらいました。各球団にとって、それぞれの“100点満点”は異なりますから、10点、20点ほどの小さな“YESテイク”を積み重ねて、合格点を目指していきました。

正直なところ、一時は『別にPLMがなくなってもいいんじゃないの』みたいなやり取りもあった。けれどもそれだけは絶対に避けたかったんです。なぜなら、僕が社長になったとき、『PLMはいつか“セ・パ12球団でリーグビジネスをやる”ためのプロセスであり、12球団での成功モデルを確立できれば、PLMは発展的に解消する』と納得して、この会社を引き継いだからです」

そう、PLMはメジャーリーグのビジネスモデルを志向して発足したのだ。メジャーリーグではア・リーグ、ナ・リーグ全30球団全試合のネット配信権を含む放映権を一括管理し、数千億円単位で収益を上げている。かたや日本では、PLMが取り扱っているのはパ・リーグのネット配信権のみ。地上波放映権は依然として各球団による個別管理となっている。

「もしここでPLMがなくなってしまえば、12球団一丸となってプロ野球界の発展に取り組み、ファンにとって本当に価値あるものを提供できるようになる未来が、さらに遠のいてしまうと思ったんです」

こうして根岸氏の固い決意と粘り強い交渉が実り、6球団が一致団結して、ネット配信パートナーとして楽天、ソフトバンク、DAZNの3社と2018年から5年契約を結ぶこととなった。そして同年、PLMの売上は50億円に達し、大きな成功を収めることとなったのである。

子どもたちが「スポーツビジネスパーソンになりたい」と夢見るように


2016年からは「FOXスポーツ台湾」と放映権契約を締結し、ライブ配信プラットフォームをプロゴルフや女子プロ野球に提供するなど、海外への放映権販売やインバウンド施策、スポーツビジネスのノウハウ共有を推進。2018年7月にはスポーツ業界に特化した人材紹介サービス「PLMキャリア」を立ち上げるなど、事業の多角化、グローバル化も進めるPLM。30名ほどの社員と業務委託契約者のうち、その約8割がここ2、3年で入社したニューカマーだという。

「みんながみんな『野球が好き』とも限りませんが、会社のビジョンとして『プロ野球界、スポーツ界の発展を通して、日本の社会全体を明るく元気にしていくこと』を掲げているように、スポーツに関することならなんでもかまわない。その人が好きなことを形にできる会社なんですよ。それぞれがこれまで培ってきたキャリアや人間性が発想を生み、事業の種を蒔く。野球、そしてスポーツビジネスにはまだまだ伸びしろがあると考えています」

そして根岸氏が思い描くのは、こんなグランドデザインだ。2028年にはPLMは「スポーツ界の総合商社」となり、「スポーツビジネスパーソンが『小学生のなりたい職業ランキング9位』になる」──。

「きっと『プロ野球選手』や『サッカー選手』はこれからもランキング上位だろうけど、みんながみんなそうなれるとは限らない。でも、好きなスポーツに携わる方法が他にあるとしたら、夢が広がるじゃないですか。スポーツに関わる仕事の価値を、選手に近しい位置にまで引き上げ、『スポーツに関わりたい』と思う人の裾野を広げていきたい。スポーツにはそれだけのポテンシャルがありますから」

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