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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

フランス・カンカルの牡蠣市場(dvoevnore / shutterstock.com)

生牡蠣といえば、秋から冬にかけての風物詩だが、フランスでは、1年中食べることができる。産地として有名な場所はいくつもあるが、もっとも知られているのは、ブルターニュ地方のカンカル(Cancale)ではないだろうか。ガレットでも有名だが、生牡蠣の名産地でもあるのだ。

カンカルは、ブルターニュ地方の北東、ノルマンディー地方との境に近い半島の突端にある小さな町だ。海岸線に沿って街を歩けば、すぐに生の牡蠣を売る屋台が並ぶ光景に出くわす。新鮮な牡蠣の値段は、12個で3.5ユーロ(約430円)くらいからで、日本では考えられないくらい安い。ちなみに、その屋台のすぐそばにあるレストランで食べると、6個で12ユーロ(約1470円)くらいはする。

フランスでは、スーパーやマルシェで買う値段と、レストランでの価格との間にかなりギャップがある。最初はこの価格差に戸惑ったものだが、このようにしっかりと人件費やサービス料をとるというのは大事なことだと、最近はつくづく納得してしまう。

さて、そんなフランスの牡蠣だが、その大きさによって0番から5番までの番号に分けられている。0がいちばん大きくて、数字が大きくなるにつれ、牡蠣のサイズは小さくなるという具合だ。基本的にフランス人は、牡蠣は生で食べるのだが、大きい牡蠣は味が大雑把になるし、小さすぎても食べ応えがない。生で食べるなら3番がいい、というのが信頼できる友人からの教えだ。

防波堤でピクニック

友人のアドバイスを忠実に守り、3番の牡蠣を1ダースとレモン半切れ(これは0.5ユーロ)を買ったら、カンカルの屋台の裏手にある堤防に腰掛けよう。堤防の先に広がる海は牡蠣の養殖場になっており、移動式の牡蠣棚がずらりと並んでいる。ちょうどこのあたりの海はヨーロッパで一番干満の差が大きいエリアになっており、牡蠣の養殖にはぴったりの場所なのだ。


wjarek / Shutterstock.com

ここでは、潮の満ち引きに合わせて牡蠣棚を引き上げたり、再び海に戻したりという作業が1日中繰り返される。これはかなりの重労働だそうで、牡蠣の養殖場はいつでも人手不足の傾向にあるそうだ。(といっても近年はパリで仕事がなくなった人々が地元に帰ってくるので、それなりに人手はあるそうだが)。

そんな様子を眺めながら、牡蠣をつまんでいこう。言い忘れたが、もちろん屋台では白ワインも売っている。お気に入りのワインやつまみを持ち込んで、堤防沿いでピクニックをしても楽しいかもしれない。

最初は、そのままで。2つ3つ食べたら、レモンをかけていただくのが僕のスタイルだ。途中からは、ポケットに忍ばせたタバスコをかけて食べても、味に緩急がついてうまい。食べた牡蠣殻は、海に向かってどんどん投げていこう。堤防の下は既に牡蠣殻で埋め尽くされているので、遠慮することはない。青空の下、牡蠣を頬張っては、殻を海に投げていく。これが結構気持ちいいのだ。ずいぶん昔、スイカのタネを飛ばしていた頃を思い出す。

文=鍵和田 昇

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