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(Chesnot/by Getty Images)

ビジネスチャットツールの「スラック(Slack)」は6月20日に米国市場に上場するが、ニューヨーク証券取引所は19日夜、同社の株式の参考価格を26ドルに設定した。

この価格に基づくとスラックの企業価値は157億ドル(約1.7兆円)に達し、CEOのスチュワート・バターフィールドはビリオネアになる。参考価格は投資家からの需要の大きさを示すもので、寄り付き値を意味するものではない。スラック株の取り引きは、WORKのティッカーシンボルで開始される。

一株26ドルという価格は、同社株のここ数カ月の状況から見て理にかなったものだ。スラックが米証券取引等監視委員会(SEC)に提出した書類で、2月1日から3月30日までの期間の平均評価額は1株26.38ドルとされていた。

スラックは一般的なIPOではなくダイレクトリスティング(直接上場)の形で上場を行うが、ブルームバーグの以前の予測では、企業価値は160億ドルから170億ドルとされていた。ウォール・ストリート・ジャーナルは20日の取引開始以降に、スラックの株価が26ドルを上回ると予想している。

これが現実になれば、昨年のスポティファイの初日のパフォーマンスが再現されることになる。スポティファイはIPO当日に参考価格の132ドルを26%上回わる初値をつけた。当日の終値は149.01ドルで、参考価格を13%上回っていた。

スラックの初値もスポティファイと同様に、当日の需要に応じて変動する。同社はダイレクトリスティングによって、従来のIPOで発生する費用負担を回避しつつ上場する。ダイレクトリスティングでは新株が発行されないため、売買される株は既存株主が放出するものとなる。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのJohn Mullins教授は、スラック株の初日のトレーディングは、一般的なIPOよりもボラタリティの低いものになると予測している。

スラックのダイレクトリスティングが成功すれば、それに続く企業が増えることも予想されるが、一般化することは考えにくい。企業は通常、資金調達のためにIPOを行うが、ダイレクトリスティングでは新株を発行しないため、資金を調達できない。

スラックもIPOで資金調達を行うことは可能だったが、2019年1月までの1年間で、売上4億ドルに対し1億4000万ドルの損失を計上した同社は、あえてその道を選ばなかった。

仮に同社の企業価値が157億ドルを突破しなかったとしても、バターフィールドがビリオネアになることは確実だ。参考価格に基づいた試算でも、スラックの株式の推定7%を保有する彼の保有資産額は11億ドルとなる。

編集=上田裕資

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