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週末遊牧民~森と都市の狭間を旅しながら~

時には薪の火で濃いめのエスプレッソを

前回、森とリトリートの関係について書きました。本来は逃避、避難、ひきこもるという意味がありますが、現代では、慌ただしい日常を離れ、日常と非日常の境界を意識的につくることを指します。一種の「転地療法」と言えるかもしれません。特に心身ともに疲れた時には効きます。

慌ただしいビジネスマンは皆、このリトリートを潜在的に求めているのかもしれません。日常生活でもプチリトリートをしているケースも多いと思います。僕もそうです。そうそう森に行けないので、そんな時はお気に入りのカフェに行きます。別に水分補給を目的にカフェに入る人はいない。一時的にも日常から離れたいと思うから入るのだと思います。

僕は飲食関係の撮影が多いのですが、過去にバリスタの世界的大会で活躍した業界では知られているバリスタ兼カフェオーナーの撮影をしたことがあります。

お店の物件探しから違っていました。店内から見える風景が日常を感じさせないことが第一条件だったそう。現にそのお店の向かい側には大きな倉庫があり、大きなガラス窓からはグレーのコンクリート面しか目に入りませんでした。

「あの壁があったから、ここにしたんだ」

物件探しの最終判断が、内装や間取りでなく、店の外にあったのかと驚きました。

でも冷静に考えれば、確かに、内装や間取りは、後々自分で変えることはできますが、外の風景は変えられない。正論だと思いました。

当然、店内も同様な細かな気配りがありました。「お客様の目線に日常を連想させるものを絶対に置かない」「もし、家にもある同じラップの箱が目に入ったらどう思います。一気に現実に引き戻されてしまうでしょ」

このお店に来る人はコーヒーはもちろん、この非日常の空間と時間を買いに来るのだと実感しました。ここも確かに都会のリトリート空間だと思いました。

僕の知り合いに、カフェのテラス席で、コーヒー飲んでいると、不思議といいアイデアが浮かんでくる、という人がいます。日常を離れることによって、ものごとを客観視し、クリエイティヴィティさえ高めることさえあります。

文、写真=小林キユウ

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