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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

イラストレーション=Koyoox

Forbes JAPAN 6月号では、ベストセラー『Learn Better』の著者で米国先端政策研究所の上級研究員アーリック・ボーザーに話を聞いた。小学校から学習困難を抱え、中学では特別支援教室にも通っていたボーザー。その後、学習方法を身につけて名門ダートマス大学に進学し、キャリアを切り拓いた。

ボーザーは学ぶことの意味が大きく変わりつつある現代において、知識を得るだけの学びは不十分と説く。どうすれば効果的に、真に意味のある学びを得ることができるのか。


──著書『Learn Better』で、「学習プロセス」を学ぶことが現代において最も重要な能力だと記していました。

いま私たちが住んでいる世界では、テクノロジーが常に変化しており、未来を予測するのが非常に困難だ。我々に必要になるスキルも変化し続けている。そのような変革の時代において「学習プロセス」を学ぶことが極めて重要になっている。私たちは必要に応じてコーディングや統計分析、もし自分の顧客がロシアにいればロシア語、というように、新たな専門知識を学び続けないといけない。成功するには効果的な学習方法を身につけることが最も効果的で、重要だ。学習プロセスの習得はあらゆるスキルの前提となる「究極のサバイバルツール」となる。

──学習とは、単なる知識の習得ではなく「専門家の思考スキル」を身につけることだとも述べています。

いまやスマホやウェブを見れば、すべてがわかるので、知識を得る必要はないという人もいるが、そうではない。何かについて考えるためにまず前提となる知識が必要だ。例えばドイツ語を知らなければ、ドイツ語の文章を理解することはできないし、専門的な文章も前提となる専門知識や用語を知らないと理解はできない。

知識は学習の土台であり、基本的な知識がその人の学習能力に影響する。それが「知識効果」だ。

ただし、知識を得るだけでは十分ではない。深い専門知識を習得するには、基本を身につけた上で、知りたいことの原因と結果といった関係性や体系、類似性に気づくことも重要だ。

例えば、海洋について学ぶなら海水の平均温度を覚えるよりも、海水温の上昇とともに海水が蒸発しやすくなるという傾向を知ることのほうが重要で、気候変動が地球に与える深刻な影響について理解することができる。また、戦争について知ろうとしたら、いつ戦争が始まり終わったのか、という知識はそれほど重要ではない。それよりも戦争のシステムについて知るべきで、戦争において政治はどのような役割を果たしたのか、といったことを知る方が深い知識を習得できる。

──最もうまく学べる学習プロセスとして、6つのステップを掲げています。

そうだ。「価値を見出す」「目標を設定する」「能力を伸ばす」「発展させる」「関係づける」「再考する」だ。一つひとつステップを踏むことは非常に重要だ。この6ステップを踏まないと、学習の目標を見失い、知識を深く理解することができない。学ぶことを学ぶとはつまり、いま学んでいるものが何かを知ることだ。

文=成相通子

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