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SBPを支える5人。左から順に西山恵太、田口義隆、漆紫穂子、堀久美子、田辺建二。

「自分の生まれ育った福島をネガティブに捉えるのではなく、『こんな福島にしたい! だからこのアイデアを実現するんだ』というように夢を具体化できる高校生たちに出会ったんです」と品川女子学院理事長の漆紫穂子が語るのは、震災後に福島県立福島高等学校で起きた出来事だ。

2018年の夏、福島市内にある割烹料理店では、高校生が限定メニューの『ふっこうみどり鰻定食』を提供していた。この蒲焼きの鰻を1年かけて育てたのが福島高校のSS部好適環境班の生徒たちである。

実はこの試食会に至るまで、卒業する先輩から後輩に受け継がれて、ようやく成就したものだった。きっかけは、2012年に「震災の風評被害で7割減少した観光客の客足を取り戻したい」「福島県沖の魚の水揚げができない」という福島の観光地の切なる課題に高校生たちが「自分たちでできること」を考えたことから。

その高校生たちに、福島高校SS部の遠藤直哉顧問、そして、震災以降福島で高校生の人材育成事業を行ってきた一般社団法人Bridge for Fukushima伴場賢一代表理事が伴走してきた。

福島高校生の挑戦 ──「鰻の陸上養殖」事業化をめざして

福島高校SS部のプロジェクト「成長を促進する好適環境水による魚の完全陸上養殖」は試行錯誤が続き、プロジェクトは先輩から後輩へと受け継がれていった。

プロジェクト発足から数年後、温泉街に人を呼び戻すには希少性と単価が高い鰻がいい、と彼らは鰻養殖を中心に据える。様々な支援を得て実験を繰り返し、育てたその鰻の店頭販売までの道のり、ビジネス・モデルのブラッシュアップを支援したのが一般財団法人SBP(ソーシャル・ビジネス・プラットフォーム)とその経営者ネットワークだ。

SBPは社会問題を解決するソーシャル・ビジネスの支援を行っているが、特に中高生に向けて、課題発見、アイデア創出、事業創造力、マネジメント力を培うための場を提供している。各界のビジネスリーダーがサポーターとして名を連ね、前出の漆も評議員を務めている。


品川女子学院理事長 漆紫穂子氏

SBPとSBPに関わるビジネスリーダー達と共に、自分たちのアイデアを「実社会を変えるプロジェクト」に昇華させて行く過程で、生徒達も大人も社会課題への認識がガラリと変わった。

福島高校SS部のプロジェクトは、SBPとの関わりの中で持続可能性を高め、SBPが主催するイベント、ソーシャル・ビジネス・アイデア・プレゼンテーション(SBIP)でも大賞を受賞した。


セイノーホールディングス代表取締役社長 田口義隆氏

セイノーホールディングス代表取締役社長にしてSBP代表理事を務める田口義隆も、「学生達の柔軟なアイデアをブラッシュアップして形にする。このようなプラットフォームも今後の日本に必要。生徒たちの取り組みを、事業化を視野に大人が協働することで、社会更新(ソーシャルバージョンアップ)の一歩が始まる。そのように、SBPが社会活性の一助になれば」と思いを語る。

写真=岩沢 蘭

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