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核物理学者マリアンティ・フラゴポール博士

核物理学者マリアンティ・フラゴポール博士のスタートアップ企業「Herado(へラルド)」の快挙は、ヒトの未来は大気圏内だけではすでに限界であることを指摘し、宇宙が人類にとって「最後のフロンティア」であると立証しているようだ。

「最後のフロンティア」。これはさながらスタートレック・シリーズの冒頭を思わせるフレーズだが、これこそが実際に今回、フラゴポール博士がギリシャに提示した現実だ。

へラルド社のチームは、フランスの金融大手ソシエテ・ジェネラルのポーランド子会社ユーロバンクが後援する青年起業家育成プログラム「EGG-Enter・Grow・Go」の支援を得て、宇宙空間における放射線量測定のための革新的システムを開発した。このことで、ギリシャチームとしては初の快挙、すなわち、NASAがスペースシャトルの代替として開発中の宇宙船「オリオン」のミッションへの参加も決まった。

フラゴポール氏が発案したヘラルド社のこの製品は、宇宙飛行士を放射線から守ることを目的としており、まもなくEGGで正式に発表される予定だ。

国策よりも「地球策」

フラゴポール博士は次のように話す。

「来年9月に予定されている、NASAの宇宙船オリオンの月面での無人ミッションに会社として参加します。われわれは、宇宙の放射線場の強さを測定するための統合的なシステムを提供します。 NASA、DLR(ドイツ航空宇宙センター)、そしてわれわれの3システムが、このミッションに参加する予定です。宇宙船には2つの模型を積載しますが、1つはシールドベスト付き、もう1つはナシ。そして、それぞれの『ヒトの臓器』が受ける放射線を測定します。 月と火星へのミッション、さらには宇宙的ミッション全体の技術的成功を鑑みて、この『無人月接近通過探査ミッション1(EM-1)』が持ち帰る放射線量のデータは、おそらく2年後のNASAの有人ミッションに使用されるでしょう。

NASAは目下、宇宙をより深く探求する計画にギアを入れつつあります。中でもNASAとロッキードマーチンの共同で作られた宇宙船オリオンは、 過去のどの有人ミッションよりも遠くまで人を運ぼうとしています。 そして、言うまでもなくNASAの放射線量測定プログラムの承認には非常に厳しい基準があります。カナダ、ロシア、日本といった宇宙分野における諸『強国』からの提案が承認されなかった一方で、ギリシャ人研究者のプログラムが承認されたことは、わが国にとって画期的な出来事です」

テッサロニキ(テルマイコス湾に面したギリシアの港湾都市)のアリストテレス大学物理学科を優秀な成績で卒業したフラゴポール博士は、「フラグメンテーション発生源の中性子線量測定」の研究が認められ、名誉博士号を授与された。ギリシャでの奨学金や受賞歴、および教職歴により、若くして海外の主要な研究センター(米国のロスアラモス国立研究所、日本の千葉県重イオン医療用加速器(Himac)、ドイツPTBなど)で研究活動を行い、一連の実験に参加して、ここでも複数の賞や奨学金を得た。

2009年からは、宇宙飛行士の放射線防護の分野のビッグネームたちと共同で、衛星に関するミッション(FOTON, BIONフォトン、ビオンなど)や、国際宇宙ステーション(ISS)に参加してきた。

構成=石井節子

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