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今年も6月17日から24日までの5日間、南仏のリゾート地カンヌが世界のクレイジーなアイデアで溢れかえる。

1954年、劇場CM復興のために創設された「カンヌ国際広告祭」は広告の枠に収まることなく規模と影響力を拡大させ続け、2011年、名称を「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」に変更。今年で開催66回目を迎える。

 現地に足を運んでわかるのは、世界トップクラスの広告クリエイティブだけではない。受賞作品を通して見えてくるのは、課題を本質から解決する、シンプルなアイデアのもつ可能性だ。


顧客をマーケターに変えただけで、売り上げが350%増

言うまでもなく、広告の役割は商品やサービスを世間に広く認知させることで、企業の売り上げを拡大させることだ。カンヌライオンズの受賞作品には、数値から効果を評価しやすい事例もある。

2018年、クリエイティブ・Eコマース部門のグランプリを受賞したXboxのThe Fanchise Model(ファンチャイズモデル)はその際たる例だろう。



マイクロソフトは、家庭用ゲーム機「Xbox」のコントロール端末をカスタマイズできるEコースサービス「Xboxデザインラボ」をローンチさせたものの、従来のモデルよりも価格が5割も増したこともあり、売り上げに伸び悩んでいた。

そこで解決策となったのが、顧客であるファンたちに商品の販促と販売を委託する、フランチャイズならぬ「ファンチャイズ」だ。

コントローラーのボタンや本体の色を自由にカスタマイズした後、オリジナルのコントローラーをファン自ら販売できる仕組みを設けた。アイテムを販売する立場になったファンの売り上げの取り分は2割。ゲーマーであるファンたちは、起業家精神に火をつけた。

キャンペーン後、コントローラーの売り上げは350%増加。Webサイトに訪問をした41%のユーザーがファンチャイズに参加し、最も多い人で$1,131(約12万円)の利益を得た。

このように、売り上げに直結するアイデアが賞を受賞することもあるが、社会的なメッセージのある受賞作品が注目を集めることもある。

少女の像を置いただけで、株価指数が374%増加

この銅像に見覚えのある人は多いのではないだろうか。



2017年3月7日の国際女性デー、ニューヨークの金融エリア、ウォール・ストリートの「チャージング・ブル」に正面から向き合う位置に、少女の銅像「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」が設置された。

仕掛け人は資産運用会社「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」。「ジェンダー・ダイバーシティー・インデックス」という、女性を幹部に起用している割合が高いアメリカの大企業を組み合わせたファンドの認知を目的としたプロモーションだったが、金融業界全体の女性役員比率の低さ、給与の男女差の問題喚起にも繋がり、2017年の「グラス(ジェンダー)」「PR」「アウトドア広告」の3部門でグランプリを受賞した。

後日、同社の経営陣の82%が男性で、全員が白人であるという事実が非難の対象になったが、「性別の多様性を実現するために女性役員・要職の比率を高くしている企業に投資する投資信託」の株価指数が374%も増加した。

文=守屋美佳 写真=Shutterstock

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