Deputy editor for Industry; eyes on the skies


プロペラの方がスピードが速く、離陸時により強い揚力を生み出すことが可能だが、Liliumのダクトファンの利点は音が小さいことだ。Gerberによると、Liliumの航空機は、ヘリコプターの4〜5倍静かで、約300m上空を飛行していると陸上では音が聞こえないという。同社は、騒音によってヘリコプターの飛行が制限されている都市部でも運航許可を得ることが可能だと考えている。

Liliumは、2025年にサービス提供を開始する予定で、当初は既存のヘリポートやヘリコプターの航空路を活用するという。Gerberによると、料金は従来の航空券に、空港からのタクシー代を加えた金額と同等にする予定だという。Liliumは、それぞれの都市の中心部を結ぶため、乗客はタクシー代を節約することができる。

この料金設定に、航空業界の専門家は驚きを隠さない。電動航空機は小型航空機に比べて可動部分が少ないため、操業コストを低く抑えることが可能かもしれない。しかし、Teal GroupのRichard Aboulafiaは、「パイロットが操縦し、乗客が4人しかいない航空機が、2人のパイロットが操縦する150人乗りの航空機と同等の規模の経済性を出すことは困難だ」と指摘する。

Aboulafiaによると、あらゆる都市航空交通スタートアップが同じ問題に直面しているという。「ヘリコプターの料金は、平均的な旅行客の予算を上回るが、Liliumがそのヘリコプターよりも格段に安い料金を実現できる根拠が明確でない」とAboulafiaは話す。

「経済的に成り立たない」との指摘

Liliumは、航空機を販売するのではなく、自社で空輸サービスを手掛ける予定だが、このビジネスモデルは多額の資金を必要とするため、黒字化を達成する時期はかなり先のことになると、コンサルタント会社AirInsight のErnie Arvaiは指摘する。

Arvaiの試算では、Liliumがサービス開始に必要な機体を製造するためには、5億ドルの資金が必要であり、航空機を他社に販売しなければ資金調達が困難になる可能性があるという。離着陸場やターミナルを準備するためには、さらに多くの資金が必要だ。

「自社で航空機の製造と輸送サービスを手掛けるのはハイリスクだ」とArvaiは話す。

Liliumは2017年に中国のテンセントが主導する調達ラウンドで、9000万ドルを調達していた。さらに、スカイプの共同創業者でビリオネアのNiklas Zennstromが設立したVCの「Atomico」からも資金を調達している。

Liliumは、2017年に2人乗りのプロトタイプで飛行テストを行い、垂直離陸から水平飛行を行うことに成功した。Gerberによると、今後は安全基準を満たすためにさらなる飛行テストを行い、最終製品の完成を目指すという。

編集=上田裕資

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