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地方発イノベーションの秘訣


SwiftXi社の自律制御型のドローン「Swift021」は、固定翼型でありながら垂直離発着ができる。しかし、このように飛ぶと、垂直上昇から水平飛行に移るときに機体が不安定となる。巧妙に制御できないと墜落しかねない。世界中のドローンメーカーがなんとかコントロールしようと開発を試みたが、実用化できなかった。

ところが同社は、通常の航空機の無人制御システムで培った、高性能AIを核とした「X-Blade」と呼ばれるテクノロジーで、水平飛行への移行を完全に制御することに成功したのだ。

長距離飛行ができる固定翼型のため、広大なエリアの調査も可能だ。わずか20分間しかバッテリーがもたないマルチコプター型と比べ、約2時間、120kmを飛べる。

自治体担当者も唸らせた安全設計

それだけではない。一般のドローンを超えた安全設計も持ち、トラブルによるプロペラの緊急停止に、確かな対策をとっているのだ。フライト前に海上や河川のような不時着してよいエリアをプログラムするので、万が一のときでも、自動滑空で危険のないエリアにたどり着ける。

これに比べ、マルチコプター型はローター(プロペラ)が停止すると、当たり前だが落下する。松下は「日本ではドローンが甘く見られている。トラブルを想定した設計が必要。100m上空から機体が人間の上に落下すれば何が起こるのかを考えてほしい」と話す。安全を第一に考える自治体の担当者としては、これを聞くと、もはや唸るしかない。


神戸港上空を飛行するwiftXi社の自律制御型ドローン

安全設計はほかにも、制御システムが万が一ダウンしたときの対策も備え、ハッキングにも独自技術での防御策を講じるなど、有人航空機並みの安全思想を持っている。

政府は、人間が操縦するのではなく、プログラムで「自律飛行」するドローンが、市街地を飛び交う社会を2020年以降に実現するとしている。これには、山間地などの人がいない地域で、操縦者はもちろん監視者もいない自動飛行を繰り返して、実績を積むことが不可欠だ。

だが、国内の山間地での自律飛行は、小さな荷物の運搬で2回行われただけ。テレビやネットでしばしば見るドローンの映像は、自律飛行ではなく、操縦者がいるか、自動飛行であっても何かあれば操縦者がすぐに操作できる状態で撮られているにすぎない。

ドローンの自律飛行に本格的チャレンジするのは、SwiftXi社が国内で初めてとなる。この挑戦は、日本でドローン活用を進めていくうえでの大きな試金石になるであろう。

連載:地方発イノベーションの秘訣
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文=多名部重則

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