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I cover Google parent company Alphabet and artificial intelligence.

サンダー・ピチャイCEO(Photo by Virendra Singh Gosain/Hindustan Times via Getty Images)

グーグルはインターネットユーザーとの信頼関係を強固にするため、これまで以上のデータのコントロール権を利用者に与え、それらがいつ、どのように利用されるのかを開示しようとしている。

グーグルのサンダー・ピチャイCEOは5月7日から開催された開発者会議「I/O」のキーノートを、このような言葉で始めた。「グーグルは単純に検索結果を教える企業から、日々の暮らしを支援する企業にシフトしていく」

当日のプレゼンで同社の幹部らは、スマホや車内の機器や、音声アシスタントなど、様々なツールを経てグーグルが人々の日常に入り込む模様を披露した。

それらのデバイスを最大限に利用するためには、ユーザーらが自分のデータをグーグルと共有する必要がある。そこで利用される情報には連絡先や位置情報、顔のデータまでが含まれる。ここで得られるベネフィットの例として、グーグルはAIアシスタントが洗練されたパーソナライズに基づき、レコメンドをする事例をあげた。

「お母さんの家の周囲の天気はどう?」「今度泊まるホテルにレンタカーを手配してくれる?」「妹の誕生日の1週間前に花を注文して欲しい」といった複雑なリクエストに、AIアシスタントが応えるのだ。

そこで威力を発揮するのが、ロボットが電話をかけるデュープレックス(Duplex)のAIアシスタントだ。デュープレックスはユーザーの要望に応じて、貯蔵された個人情報を利用して、レンタカーの手配や映画のチケットの予約を代行する。

さらに、データベースの顔データを活用し、ユーザーの家族が帰宅した場合にのみ、家の鍵を自動で解錠するなどの動作も可能になる。

一方でグーグルは個人のデータの管理権限をユーザーに与え、データ収集とプライバシー保護のバランスをとろうとしている。グーグルマップや検索の履歴の管理権限をユーザーに与え、広告主が利用可能なデータをコントロール可能にする。

さらに、スマートホームデバイスが取得するデータを、利用者にはっきり明示しようとしている。さらに、「federated learning」というアプローチで、AIがデバイス内のみで動作し、クラウドにデータを送らない仕組みを提供しようとしている。

テクノロジーの「気味悪さ」を抑える

消費者や政府がテック企業のデータ収集に神経を尖らせている中で、グーグルのこの動きはスマートなものと言えるだろう。利用者にサービスの透明性をアピールし、彼らにより多くの選択肢を与えることで、テクノロジーにつきまとう気味の悪さを抑えることができる。

グーグルは広告から利益を生む企業であり、より多くのデータを入手することが、彼らの利益の拡大につながる。同社の広告事業部門の幹部であるPrabhakar Raghavanは、こう述べた。

「当社は長年の経験から、利用者がパーソナライズされた広告や、ニーズや関心に合致するレコメンドを好むことを知っている。ただし、それは透明性が確保され、ユーザーに選択の権限が与えられている場合に限られる」

グーグルが今回提示した新たなデータ収集ポリシーは、同社のビジネスを損なうものではない。影響が及ぶのはクロームのクッキーの取得が難しくなる外部の広告企業らだ。グーグルに対する消費者の信頼度は、以前よりも高まるはずだ。

従来の検索エンジン広告やディスプレイ広告の成長が鈍化する中で、グーグルは次の成長機会を模索している。プロダクトを自然な形で、ユーザーの暮らしに入り込ませるのは、理にかなった動きだ。彼らがまだ、完璧なマネタイズの手段を描き切れていないとしてもだ。

グーグルがデータの管理面で、責任ある企業であるとの意志を表明したのは、大きな前進と言えるだろう。しかし、利用者たちが本当にグーグルを信頼できるパートナーとして受け入れるかどうかは、今後の同社の取り組み次第だ。

編集=上田裕資

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