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I write about innovation trends in global hotspots.

Chaay_Tee / shutterstock.com

中国のテック業界では「朝9時から夜9時」「週6日勤務」を意味する「996」と呼ばれる勤務形態が日常化している。1日12時間労働が6日も続く働き方は、シリコンバレーのテック企業では考えられないものかもしれない。

背景には中国と米国の間の経済発展の格差がある。中国企業は米国に追いつくことを目指し、一部の領域では既に米国を上回った。中国の起業家やスタートアップの社員らにのんびりしている時間はない。やるべきことが多すぎるのだ。

筆者は長年、北京や上海、深センなどのイノベーションハブの動向を追い続けているが、現地では週に1日も休まず12時間労働に励む人々も珍しくはない。

働きすぎは人々の創造性を破壊するもので、ワークライフバランスを重視すべきだという議論があるのは当然のことだ。中国においてもミレニアル世代の間では、健康的なライフスタイルへの関心が高まり、ジムに通い食事に気を配る若者も多い。

しかし、中国の996文化は今後も残り続けるだろう。なぜなら、過酷な労働と引き換えに得られる成功が巨大だからだ。テクノロジー業界の成長スピードはあまりにも速く、競争は激しく、未来に広がる可能性を考えるとゆっくり構えてはいられない。

現地のオンデマンド市場の動向を見ても、それは明らかだ。人々はあらゆる商品をモバイルで購入し、WeChatやアリペイで支払い、デリバリーサービスで手に入れている。

中国のインターネット分野の起業家の第1世代にあげられるのが、バイドゥのロビン・リーやアリババのジャック・マー、テンセントのポニー・マーたちだ。ジャック・マーは996労働の支持者として知られている。この3名に影響を受けて事業を立ち上げ、ビリオネアになる若い起業家も続々と誕生している。

アリババの競合として急浮上したEコマースサイト「拼多多(ピンドォドォ)」を立ち上げた、39歳のColin Huang(黄峥)などがその代表例だ。

中国のテクノロジー業界は過去10年で急成長を遂げ、ベンチャーキャピタルやユニコーン、IPOの件数でもシリコンバレーに匹敵する規模になった。今後も破壊的イノベーションを中国は送り出すだろう。背景には政府のサポートや、西側に比べればプライバシー保護意識が低いこともあげられる。

しかし、中国の成長を何よりも強力に牽引しているのは、活発な起業家精神だ。今はまだ始まりの段階に過ぎない。スタートアップ業界の996カルチャーはまだまだ続いていきそうだ。

編集=上田裕資

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