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受託開発エンジニアが成長し、活躍できる環境をつくりたい

スカイディスクの創業は2013年。橋本はエンジニアとして4度の会社設立経験があるが、これまでは受託開発を専門にしてきた。スカイディスクもエンジニア時代のメンバーとともに立ち上げたが、投資家から資金を集めて積極的に事業を拡大させるのは今回が初めてだ。

「いろんな人の利益を鑑みながら会社を大きくするのは、やはり大変ですね」と笑う橋本。実際、創業時から事業の根幹こそ変わってはいないものの、現在のAIとIoTを前面に出したパッケージになるまでには、何度も看板の掛け替えがあったという。

受託開発でも一定以上の支持を獲得していた彼が、いわゆる「起業家」としてのリスクを伴う道を選んだのはなぜなのか。

「これまでの経験でAI開発の技術を培ってきましたが、技術をより多くの人に普及させるためには、ビジネスモデル自体をスケールさせなければならない。長期的な発展のためにはしっかりベースをしっかりさせるべきだと判断し、資金調達を選びました」

また、橋本が起業の際にもう一つ重視したのが、エンジニアをはじめとしたメンバーへの待遇だ。

「受託開発のエンジニアは技術を安く買い叩かれ、せっかく関わったプロダクトに自分の名前が残らないなど、苦労が報われないことも多い。また、生活のために慣れた技術でこなせる仕事ばかりを引き受けていれば、新しい技術を吸収するチャンスもなかなか得られない。先端分野であるAIやIoTを扱い、ビジネスがスケールしていくスタートアップなら、こうした問題を解決してエンジニアが活躍できる環境を用意できると考えたんです」

福岡を起業家が熱量を高め合えるエコシステムに

スカイディスクが最初にオフィスを設立した「福岡」のスタートアップ環境についても触れておこう。福岡市は2012年に「スタートアップ都市」を宣言して以来、2017年に始動した官民共同のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(福岡グロースネクスト)」を設立するなど、起業家のサポートを積極的に進めてきた。

橋本も同施設の起業家支援講座「ジャンプスタートプログラム」に登壇するなど、先輩起業家として支援に参加。スタートアップにとっての福岡の現状を、彼はこう説明する。



「周りに同じ環境で熱意を持っている起業家が多いですね。起業家は一人で悩みを抱え込みがちですが、みんなで一緒に地域を盛り上げようと熱量を高める環境がある。

もう一つありがたいのは、行政とスタートアップの距離感が近いこと。イベントで挨拶した行政の方が翌日にはメッセンジャーで関係者への連絡をつないでくれるなど、スピーディかつ密な連携を取っていただいています」

スタートアップ支援が始まってから約7年が経った現在は、「蒔いた種が少しずつ実ってきている段階」だと橋本。しかし、起業家が求める環境は、かなり整ってきているそうだ。

「創業直後の起業家にとってメンターや弁護士、そしてある程度の経験を積んだ先輩起業家といった悩みを相談できる人々はとても心強い存在です。私がスカイディスクを設立した頃とは違い、近年の福岡にはこれらの人材が着実に揃いつつあります。

まだここからM&Aや上場を成し遂げた企業は現れておらず、その意味では先輩起業家が充実するのはもう少し先になるかもしれません。私も含めた既存の起業家が結果を出すことで、より起業家同士で相談し、切磋琢磨できる環境になるといいですね」

文=野口直希 写真=小田駿一

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