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小さな声から見えてくる、ノンフィクションな話

チェコ・プラハの歴史的建造物”St. Anne Church”で開催されたオープニングイベント

金曜日の夜7時、チェコ共和国の首都プラハの映画館。地下のシアター前ではぎゅうぎゅうの人混みに揉まれながら、チェコビールを片手に談笑しながら開演を待つ。上映されるのは、世界中から集まった新作のドキュメンタリー映画だ。

国際人権ドキュメンタリー映画祭『ONE WORLD FESTIVAL』が、今年も3月にプラハで開催された。世界中から選出された117もの最新のドキュメンタリー映画が、11日間にわたってプラハ中の映画館で上映された。ワールドプレミア、チェコプレミアの作品はもちろん、今回はアカデミー賞ノミネート作品も含まれる多彩なラインナップで、チケットは売り切れ続出という盛況ぶりだった。


平日の夜も満員の映画館

古くから映画文化が発展し、独特のスタイルを持つ数々のドキュメンタリー映画を生み出してきたチェコ。1948年に旧チェコスロバキアが共産党政権となって以来、映画はプロパガンダ的な役割を強いられたが、チェコの人々はその抑圧の中から、ユーモアを効かせた社会風刺やユニークな映像表現を次々と生み出してきた。

チェコ映画は民主化の動きと共に盛り上がり、1968年に起きた民主化運動「プラハの春」で全盛期を迎えたが、チェコ事件から再び自由を奪われることになる。それ以降は面白みのあるドキュメンタリー作品はめっきり減り、人々の心も離れていってしまった。そんなチェコで、今再びドキュメンタリー映画の波が来ているという。

チェコの人たちを惹きつけるドキュメンタリー映画の魅力について、『ONE WORLD FESTIVAL』総合ディレクターのオンドジェイ・カメニツキー氏が語ってくれた。


国際人権ドキュメンタリー映画祭『ONE WORLD FESTIVAL』総合ディレクター オンドジェイ・カメニツキー(Ondrej Kamenicky)氏

「ちょっと前まではあんまりだったけど、今のチェコではたくさんの人がドキュメンタリー映画を日常的に観るよ。世界のニュースや社会問題、議論されるべきトピックについて知れるアカデミックな側面もあって、『ドキュメンタリーを観ることはクール』というイメージがあるんだ。ファッション的な感覚もあると思う。実際にはもっと深いものだとも思うからそれは一概に良いことではないけど、オーディエンスがドキュメンタリーを求めるようになってるからこそ、今のチェコではフィクションよりドキュメンタリーの方がお金が集まりやすいし、ビジネス的にもとても良い状況になってきてるね」

文=水嶋奈津子

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