旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

AFI Cape Town Fashion Week(Getty Images)

4月12日、アフリカ最大のオンラインプラットフォームであるJumia Technologies(通称Jumia、ジュミア)がニューヨーク証券取引所に上場した。「アフリカのアマゾン」とも言われるJumiaは、2012年にナイジェリアで創業。現在はアフリカ14カ国に展開し、小型家電や雑貨などのEコマースの他、フードデリバリーや旅行の予約などのサービスも扱う。

アフリカビジネス支援に特化したアドバイザリー会社、アフリカビジネスパートナーズは、Eコマースの離陸には自社のナレッジや資金力だけでなく、道路、物流システム、調達、決済システム、人材、資金調達といったビジネスインフラが前提となるとしたうえで、「アフリカで携帯・ITサービスが爆発的に普及したのは、リテール事業の基盤となるインフラがなかったからにほかならない」と分析する。

IPOに際しての最新のコラムでは、Jumiaの低価格戦略による赤字と配送における課題を指摘しつつ、「Jumiaが注力してきたオペレーションは改善されている」と評価する。

アフリカ的発展への期待と現実

銀行口座を持たない人が携帯を使った決済や送金サービスをいち早く取り入れたり、道路が整備されていない地域でドローンが活躍したり、すでに当たり前のようになったリープフロッグ(新興国の発展において先進国のような段階的な進化を踏むことなく最先端に到達すること)の事例をもとに、アフリカの発展にさらに期待したい気持ちもあるが、それは少し楽観的すぎかもしれない。

少なくともアフリカのファッション・ライフスタイルブランドを中心としたクリエイティブ業界の経営者たちは、グローバル基準のインフラとアフリカならではインフラの狭間で、それぞれのアプローチを模索しているように思える。リープフロッグへの期待は持ちつつ、実際は地道にインフラ整備に注力することで、自国におけるクリエイティブ産業を離陸させようとしている。

例えば、アフリカでの経済規模トップ2であるナイジェリアと南アフリカ。この国で開催されるファッションウィークには、近年欧米のファッション業界やメディアも注目し始めている。

Condé Nast International Luxury Conferenceに登壇したオモイェミ・アケレレ(c)コンデナスト社

ナイジェリアには、弁護士というキャリアからファッション業界に転身した「ラゴス・ファッションウィーク」を立ち上げたオモイェミ・アケレレ(Omoyemi Akerele)という起業家がいる。いわゆるファッションショーを企画する彼女だが、「我々の仕事はランウェイの先にある」と主張する。アフリカのファッション業界を構築する上で、社会経済的インパクト、工業化、ソーシング、流通、資金調達、ナレッジ共有・交換、テクノロジーといった要素を加味して事業を進めていく必要があるという。

実際、彼女はアフリカでのソーシングや生産の支援や、欧州・アフリカでのポップアップショップの企画なども行っている。Eコマースやインスタグラムなどオンラインだけで展開するブランドがあることも認識しつつ、「アフリカンファッションという体験を提供する場として、実店舗は必要だ」というのがアケレレの意見だ。

一方、過去10年間、南アフリカのケープタウンとヨハネスブルグの2都市でファッションウィークを開催してきたアフリカン・ファッション・インターナショナル(AFI)代表のプレシャス・モロイ・モツェペ(Precious Moloi-Motsepe)も、インタビューで次のステップは店舗だと語った。これまでもファッションウィーク会期中に期間限定店舗を運営してきたが、常設店舗への意欲を示す。


Condé Nast International Luxury Conferenceに登壇したプレシャス・モロイ・モツェペ (c)コンデナスト社

文=MAKI NAKATA

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい