ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信


めざすのは勝手だが、一致団結して打倒トランプと声を揃えていたはずの民主党は、20人以上の候補者が現れており、ここにきてのバイデンの出馬が、党にとってプラスになっているという論調はどこにも見当たらない。

いきなりバイデンは、メディアのアンケートでは民主党員の13%の支持を得て候補者のトップに躍り出たが、ワシントン・ポストは「トランプに対しての攻撃はたしかにウケるが、しかし民主党員は最終的には自分の考えに近い候補を選ぶだろう」として冷ややかだ。

ニューヨーク・タイムズも、オバマ大統領との仲睦まじい写真を載せながら、民主党員にとって、バイデンは彼の個人的な悲劇(妻、娘、息子との死別)によっていつも同情の対象だったとして、このトップランナーの政策評価はなく、やや一歩引いた感じだ。

副大統領までやりながら、その後ただの人になり、再度大統領をめざして見事当選した例としては、ニクソン大統領が挙げられるが、彼は36年もこの職を求めてはいなかった。国民は、モグラたたきゲームのように大統領選に現れるバイデンに苦笑している。

なにより、前回(2016年)の大統領選で、ヒラリーを意識して出馬しなかったことへの説明がないのがまずい。そのことに触れずに、バイデンは、「トランプ大統領は、その存在が国の危機だ」という言い訳のような発言をメディアで繰り返しているが、すべての元凶はトランプだとするような「ネガティブな出馬動機」は好意的に受け止められてはいない。


2016年大統領選挙時のヒラリー・クリントンとジョー・バイデン(Getty Images)

ウォール・ストリート・ジャーナルは論説で、オバマの栄光を振りかざすことの選挙戦略を、「それしかないだろう」と言及しながらも、オバマ時代に2%の経済成長だったものを、今のトランプ政権のもとでは3%となっているなかでは、それも虚しいと論じ、「これが今度こそバイデンの最後の選挙」と皮肉っている。

今回の出馬は晩節を汚す

前大統領や元大統領の「推薦」というのは意外に効力がないのは、これまでも証明されていて、ゴア副大統領やヒラリーのケースを見ても明らかだ。普段なら悪口を言われたらすぐにツイッターでやり返すトランプ大統領も、もはやバイデンに対しては素通りだ。トップランナーがトランプに無視されることが、逆説的に民主党の迷走ぶりを表している。

前出のチェイニー元副大統領が策士扱いされ、黒いイメージをまとっていたのと比べ、バイデン前副大統領は、まさにホワイトハウスの気品を上げたと言われ、国民の最高栄誉である、大統領自由勲章をオバマのはからいで「サプライズ受賞」までして錦を飾ったのに、今回の出馬は晩節を汚すと見る向きが多い。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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